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伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 10月18日版

市況
2020年10月18日 8時00分

日経平均株価は19日に動意づいた方へ動き出す公算

1. 日経平均株価の10月は大きく動きやすい

図1は2013年以降の 日経平均株価の月ごとの変動幅を示しています。

日経平均株価は 指数先物が上場しています。指数先物は、価格変化の幅だけで利益を得ることを目的として市場に参加している人たちが主導的に価格形成に参加しているため、短い期間で値動きが大きくなりやすい傾向があります。

表を見るとわかる通り、日経平均株価は1カ月間でだいたい1000円幅以上の値動きを作っています。

図1 日経平均株価の月間の変動幅

【タイトル】

10月は16日までの時点で、774円の変動幅となっています。9月と同様、小幅な値動きで終わることも考えられますが、2013年からの変動幅の傾向を見ると、2016年を除けば、10月はその年の月の平均変動幅以上の値動きになっていることが多い月です。そのような月が1000円にも満たない値動きの幅で終わる展開は考えにくいと言えます。

906円幅となった2016年は本年と同様、大統領選挙の年です。この年は選挙を前に、10月は様子見となりました。このときはヒラリー氏が勝った場合、株安が想定されていました。トランプ氏が大統領になる場合、選挙公約を果たすなら株高となると予想されていたものの、半信半疑といった状況でした。

支持率から推測できる情勢は、ヒラリー氏が圧倒していました。支持率の圧倒的に高い方が当選した場合に株安が予想されていたため、10月に株高へ誘導して、ヒラリー氏の当選による株価の下落で利益を得るということもやりにくい状況でした。

選挙を利用して上下どちらかへ誘導して、大きな利益を出すことがやりにくい状況だったこともあり、この年の10月は様子見となったわけです。

本年は2016年と異なり、株価を誘導しやすい環境にあります。トランプ大統領が再選しても、バイデン氏が大統領になっても株高になると予想する人が多いためです。バイデン氏が打ち出している増税の方針は気になるものの、まずは追加の経済対策の規模が評価されるという見方です。

ただ、私のようにバイデン氏が大統領になると、株価はいったん下げると考えている向きも少なからず存在しています。

つまり、どちらが当選しても上昇する可能性が高く、バイデン氏が大統領になる場合、株価がいったん下げる可能性も考えられるという場面にあるわけです。

10月から11月にかけて株価を上下に誘導して大きな利益を得られる展開は、10月中に価格が行けるところまで上昇するというパターンだと考えられます。

大きな変化を作りたい側にとってその動きを作りやすい展開は、「10月に上昇、(トランプ大統領が再選して)11月も上昇」「10月に上昇、(どちらが当選しても行き過ぎの調整から)11月にいったん大きく下値を試す」というものだと考えられます。

前置きが長くなりましたが、今回は2016年と異なり、どちらが大統領になるとしても変動幅で利益を得る側が様子を見る状況ではないということです。本年10月は例年の通り、年間の平均以上の値動きになる可能性を考えておく必要があります。

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