【杉村富生の短期相場観測】 ─ お金に働いてもらわないともったいないぞッ!
「お金に働いてもらわないともったいないぞッ!」
●株式投資には絶好の投資環境に!
マーケットは日米両市場ともに、“高値しぐれ”(保ち合い)商状に陥っている。“秋の長雨”だ。方向感が乏しいし、はっきりしない。この傾向は当分の間、続くだろう。もちろん、個別物色機運(買い気)は旺盛である。なにしろ、ニューノーマル(低金利、低物価、低成長)と形容される新常態が継続する。
景気は最悪期を脱した。これは株式投資にとって、好環境となる。日本の場合、個人金融資産の5割超の1031兆円が現・預金に眠っている。未曾有の低金利(ほぼゼロ)だというのに。早く目を覚ましてほしいと思う。
いや~、もったいない。お金には働いてもらわねば…。この局面での株式投資は値上がり(キャピタルゲイン)と配当(インカムゲイン)の両方が狙える。そう、この世界では二兎が追える。このチャンスを生かすべきではないか。
全般相場についてはアメリカ大統領選挙の行方、新型コロナウイルスの感染状況(世界の感染者数は3800万人を突破)、世界景気の動向(2021年の世界景気はV字型の回復)などが引き続いて、焦点となろう。
アメリカ大統領選挙ではバイデン(民主党)候補の当選はもとより、連邦議会選挙において下院、上院を民主党が制する、と報じられている。民主党の「完全勝利」となる。
これはマーケットにとって、好ましい状況ではない。かねてより公約の10年間に10兆ドルの財政出動、その財源のための4兆ドルの増税が現実味を帯びる。しかし、ウォール街はしたたかである。
懸念材料の増税には目をつぶり、「10兆ドルの財政出動は大恐慌時代のニューディール政策に匹敵する」と。この変わり身の速さがウォール街の信条(強み)だが…。
●基本は材料株(小物)の個別物色に!
一方、物色面ではどうか。まず、アメリカや日本での住宅ブームを取りあげておこう。アメリカでは民主党のハリス副大統領候補が黒人層に住宅取得を呼びかけているし、テレワーク(在宅勤務)効果(郊外の広い家に対するニーズの高まり)がある。
このメリットを受けるのは住友林業 <1911> 、三和ホールディングス <5929> 、やまびこ <6250> 、ダイキン工業 <6367> などだろう。住友林業はアメリカを軸に海外事業を展開、売上高の3割強となっている。
日本の住宅メーカーでは熊本県のLib Work <1431> [東証M]、山口県のエストラスト <3280> など地方企業が健闘している。やはり、アメリカ同様、テレワーク効果に加え、日本は自然災害が多く耐震性の確保などが急務となっている。最近は老朽家屋に対し各自治体の厳しい調査、指導が行われている、という。
次のテーマとしてはEUV露光装置では世界シェアトップのASML(オランダ)の業績が絶好調なこと、および台湾の半導体受託企業のTSMC(台湾積体電路製造)の設備投資増額である。これは半導体業界が5G(次世代通信網)、データセンター、新型スマホ(iPhone12)向けなどに回復顕著な現状を意味する。
この関連ではタツモ <6266> 、アバールデータ <6918> [JQ]が狙い目だ。秘かに、玉を集めている形跡がみられる。個別銘柄では家賃保証(住宅関連)、医療費保証(コロナ関連)のイントラスト <7191> 、エアバッグ、シートベルト、ドローン用エアバッグ(特許)を手掛けている松屋アールアンドディ <7317> [東証M]などに注目できる。
2020年10月16日 記
株探ニュース