【杉村富生の短期相場観測】 ─ この季節は例年、不安定な値動きに!
「この季節は例年、不安定な値動きに!」
●トランプ大統領がバイデン候補を猛追!
株式市場はこの季節特有の波乱含みの展開となっている。10~11月はいつもそうだ。ヘッジファンドなどの決算がある。まして、今年はアメリカ大統領選挙(11月3日投開票)が控えている。気迷い感が強まるのはやむを得ない。誰だって、イベントリスクを避けようとするだろう。
大統領選挙はバイデン(民主党)候補が圧勝、上院と下院(連邦議会選挙)を制する「トリプルブルー」とみられていたが、ここにきてトランプ大統領が猛烈に追い上げ、接戦に持ち込んでいる、という。特に、激戦州のオハイオ、フロリダでは「トランプ氏優勢」と伝えられている。
上院(定員100人、今回の改選議席は35)は共和党が現有議席(53)を減らすものの、「過半数を確保できる」という。いずれにせよ、数日中に結果が判明する。マーケットは「バイデン氏、トランプ氏のどっちでも良い」と、両にらみの姿勢だが、この局面では積極的に動けない。基本方針は「様子見」である。
NY市場はGAFA(グーグル=アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)の好決算に支えられ、落ち着きを取り戻している。ただ、大統領選挙前後のNYダウ平均は不安定な値動きになる。「バイデン大統領」の場合、キャピタルゲイン課税を含め、大増税が行われる見通しだ。11~12月は富裕層を中心に利食い急ぎの商状となる可能性があろう。
円高はFOMC(公開市場委員会→11月4~5日)前の特有のパターンだ。このまま円高が進行するとは思えない。それに、日本市場は意外に底堅い。日本株は出遅れているし、解散・総選挙(2012年以降、「総選挙は買い」の経験則)が株価の支援材料になる。
●あるぞっ、11月中旬の解散・総選挙?
10月26日に招集された臨時国会には法案の提出が10本と極めて少ない。重要なのは日英EPA(通商協定)の承認、コロナワクチン接種法案(副作用が出たときに、製薬会社に責任を問わず、日本政府が補償する)ぐらいだ。この2本が成立すれば11月中旬の解散があり得る。なにしろ、デジタル庁法案だって、先送りされている。
ともあれ、11月は忙しくなりそうだ。なお、急落していた東証マザーズ市場は売り物が一巡、とりあえず、「やれやれ」の感じである。JMDC <4483> [東証M]、マクアケ <4479> [東証M]が強い。すららネット <3998> [東証M]は下げ止まった。カラダノート <4014> [東証M]の商いが弾んでいる。
このほか、ヴィスコ・テクノロジーズ <6698> [東証2]の出来高が急増している。5G(次世代通信網)関連だ。思惑銘柄ではビジョナリーホールディングス <9263> [JQ]、プロパスト <3236> [JQ]に注目できる。ビジョナリーの筆頭株主はエムスリー <2413> である。
エムスリーの筆頭株主はソニー <6758> だ。ビジョナリーはソニーの“孫”になる。株価160円絡みのプロパストはシノケングループ <8909> [JQ]の傘下にある。業績はV字型の回復(2021年5月期の1株利益は30~40円との予想も)を示している。
2020年10月30日 記
株探ニュース