為替週間見通し:もみ合いか、米大統領選の行方などを注視へ

通貨
2020年11月7日 15時12分

【今週の概況】

■ドル弱含み、米大統領選はバイデン候補が勝利目前

今週のドル・円は弱含み。米大統領・連邦議会選挙で民主党のバイデン候補がいくつかの激戦州を制して勝利目前となったが、大統領選挙の最終結果がすみやかに確定する可能性は低いことや、民主党による上下両院支配は難しくなり、増税や規制強化路線は大きく進展しないとの見方が広がったことから、米長期金利の上昇は一服し、ドル買い・円売りは縮小した。

11月4-5日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で金融政策の現状維持が決まったが、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会見で「雇用増加ペースは鈍化」、「最近の新型ウイルスの再流行を懸念している」との見方を伝えたことから、リスク回避的なドル売りが優勢となり、ドル・円は5日の欧米市場で104円を下回った。

6日のニューヨーク外為市場でドル・円はやや下げ渋った。この日発表された10月米雇用統計は市場予想を上回る強い内容だったことから、米長期金利は反発し、ドル・円は103円20銭から103円72銭まで戻した。ただ、取引終了時点にかけてポジション調整的なドル売りが観測されており、ドルはやや上げ渋り、103円31銭でこの週の取引を終えた。今週のドル・円の取引レンジは103円18銭から105円34銭となった。ドル・円の取引レンジ:103円18銭-105円34銭。

【来週の見通し】

■もみ合いか、米大統領選の行方などを注視へ

来週のドル・円はもみ合いか。11月3日に行われた米大統領選では民主党のバイデン候補が勝利に近づいているが、議会選挙で民主党が上院で過半数議席を獲得できない可能性があることや、トランプ大統領の陣営は法廷闘争に向けて準備を進めていることから、米国の政治不安が高まっており、安全逃避的なドル買いが再び強まる可能性は残されている。

議会選に関しては、民主党の上下両院支配の可能性は残されているものの、上院で共和党が多数派を維持した場合、バイデン候補が大統領選で勝利しても議会運営は容易ではないとの見方が出ている。そのため、大規模な追加経済対策など政策運営への期待は後退しつつある。市場参加者の間からは「米国の雇用情勢は改善しており、大規模な追加経済支援策を導入する必要は薄れている」との声も聞かれている。

なお、米連邦準備制度理事会(FRB)は4-5日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、緩和的な金融政策を維持する方針を強調しており、米国金利の先安観は消えていない。パウエルFRB議長は会見で財政支援策の必要性について改めて言及しており、財政支援が実現すれば、追加緩和を行う可能性が高いとみられている。

【米・10月消費者物価指数(CPI)】(12日発表予定)

12日発表の10月消費者物価指数(CPI)は、前年比+1.3%と前月実績の同比+1.4%をやや下回る見込み。消費者物価コア指数は同+1.7%と予想されており、インフレ率は9月実績と同水準となる見込み。ただ、FRBはハト派姿勢堅持の方針で市場予想と一致してもドルの押し上げ要因にはなりにくい。

【米・11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値】(13日発表予定)

13日発表の米11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は82.0と、10月実績の81.8を小幅に上回る見通し。新型ウイルスによる景気減速への懸念が広がるものの、個人消費の改善が続けば株高・ドル売りを誘発しよう。

予想レンジ:102円00銭-105円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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