馬渕治好氏【米大統領選通過、一気の上昇トレンド形成へ】(1) <相場観特集>

特集
2020年11月9日 18時30分

―バイデン氏勝利、バブル後高値突き進む東京市場の今後―

週明け9日の東京株式市場は日経平均が上げ足を加速させ一時600円を超える上昇をみせた。米大統領選はバイデン氏がほぼ勝利を収めた形となったが、株式市場はリスクオンの様相を強めている。前週末に日経平均は29年ぶりの高値圏に浮上し、バブル後高値更新となったが、きょうは更に上げ足を加速させている。気がつけば、あっという間に2万5000円台も視野に入れてきた。ただ、新型コロナウイルスの感染が再度加速していることなど懸念材料もある。一部では民主党バイデン政権下での為替の円高を警戒する声も出ているようだ。年末相場に向け、今後の株式市場の見通しと為替相場の動向について、それぞれの業界第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。

●「目先反動も来年2万6000円台挑戦へ」

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

足もと強力な上昇トレンドが形成されている。米大統領選はバイデン氏の勝利がほぼ決まった形だが、トランプ氏とバイデン氏どちらが勝利しても株価は上昇圧力が高まる展開となった可能性が高い。大統領選は先行き不透明感をもたらす要因となったが、そのビッグイベントを通過したという事実が重要で、結果いかんにかかわらず視界が開けた。

欧米などで新型コロナウイルスの感染者数が再拡大していることは警戒されるものの、現状を見渡せば経済実勢の回復色は鮮明だ。直近では、前週末発表された10月の米雇用統計など経済指標の改善が改めて確認されたほか、7-9月期の企業業績は4-6月期と比較して日米ともに急速に良化していることは明白だ。つまり、マクロとミクロ両面でコロナショックから立ち直りつつあることが株式市場でもポジティブに受け止められている。補助金や給付金など政策効果による部分でかさ上げされた面もあるだろうが、大方が思っていた以上に経済の復元力は強い。

加えて、世界的な金融緩和環境が続いている。12月のFOMCでは追加緩和の可能性が高いとみており、ECBなども緩和的政策を打ち出す構えにあることから、株式市場でもグローバルベースで実質的な金融相場の色彩が一段と強まることが予想される。

もっとも日経平均株価は、足もとはやや行き過ぎに買われている感も否めない。したがってスピード調整局面は当然想定しておく必要はあるが、中長期トレンドという観点では上向きである。今後の見通しとしては、いったん押し目を形成した後、再び買い直される展開を読んでおり、来年の早い時期に日経平均は2万6000円にチャレンジする動きを予想する。仮に目先反動安に遭遇しても今は上昇相場の踊り場に過ぎない。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(まぶち・はるよし)

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程修了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。最新の書籍は「投資のプロはこうして先を読む」(日本経済新聞出版社)。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。

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