為替週間見通し:上げ渋りか、ウイルス感染の再拡大を警戒

通貨
2020年11月14日 14時22分

【今週の概況】

■新型コロナウイルスのワクチン開発進展でドル買い優勢

今週のドル・円は強含み。米製薬大手ファイザー社は11月9日、「独ビオンテックと共同開発中の新型コロナウイルスワクチンの最終治験で、感染・発症を防ぐ有効性が90%以上」と発表したことも好感され、景気見通し改善による大幅な株高、急速な長期金利上昇にともない、ドル買い・円売りが強まった。ただ、その後、全米で連日新型コロナウイルス感染者数が急増して社会・経済活動への不安が高まったことから、ドル買い・円売りは後退した。

13日のニューヨーク外為市場でドル・円は、伸び悩んだ。この日発表された11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を下回ったことから、リスク回避的なドル売りが優勢となった。米国株式は強い動きを見せたが、ウイルス感染の再拡大によって経済活動はある程度抑制される可能性が高いとの見方は変わらなかった。ドル・円は104円62銭でこの週の取引を終えた。今週のドル・円の取引レンジは103円19銭から105円68銭となった。ドル・円の取引レンジ:103円19銭-105円68銭。

【来週の見通し】

■上げ渋りか、ウイルス感染の再拡大を警戒

来週のドル・円は上げ渋りか。米国における新型コロナウイルスの感染再拡大を警戒して、リスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がる可能性は低いと予想される。11月3日に行われた米大統領選でバイデン民主党候補は過半数を超える選挙人を獲得したと報じられているが、共和党のトランプ氏はまだ敗北を認めていない。一方、市場参加者の多くは民主党政権への移行を織り込みつつあり、リスク回避的な取引も縮小しつつあるようだ。

米国内での新型コロナウイルスの感染再拡大が次のテーマとなり、カリフォルニアやミネソタなど複数の州で感染による入院ウイルス患者の急増により医療体制がひっ迫し、新たな制限措置が発動されている。実用化が待たれるワクチンの開発のさらなる進展が確認されない場合、リスク回避的な取引が再び活発となり、ドル・円相場はもみ合いか、円高方向に振れる可能性がある。

一方、欧州中央銀行(ECB)は12月開催の理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の拡大など、一段の追加緩和に踏み切る公算。また、豪準備銀行など他の主要中央銀行も緩和的な金融政策を堅持しており、欧州やオセアニア通貨との比較でドルが選好されてもおかしくない状況となりそうだ。

【米・10月小売売上高】(17日発表予定)

11月17日発表の10月小売売上高は、大幅改善を示した9月の+1.9%を下回る見込みだが、ウイルス感染の再拡大の影響が表面化する11月以降の数値も注目されている。10月実績が市場予想を下回った場合、景気回復期待のドル買いは縮小する可能性がある。

【米・11月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)】(19日発表予定)

11月19日発表の11月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)は22.0と、前月の32.3から伸びは鈍化する見通し。製造業は回復基調を維持できないとの思惑から、市場予想を下回った場合、早期景気回復への期待は後退する見通し。

予想レンジ:103円00銭-106円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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