桂畑誠治氏【バブル後高値突き進む日経平均、年末相場の視点】 <相場観特集>
―700円を超える大幅高が暗示する12月相場の展望とは―
3連休明け24日の東京株式市場は一気に上げ足を強め、日経平均株価は一時700円を超える急上昇をみせた。2万6000円台に乗せ1991年5月以来29年半ぶりの高値圏に再び浮上してきた。前日の米国株市場がワクチン開発期待を背景に買われたとはいえ、東京市場でここまでリスクオン相場の様相が強まることに、マーケット関係者からも驚きの声が上がっている。長年にわたり市場第一線で活躍し、常に冷静な分析に定評のある第一生命経済研究所・主任エコノミストの桂畑誠治氏に今後の相場展望を聞いた。
●「コロナ収束後を先取りする流動性相場」
桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)
基本的には世界的な金融緩和を背景とした流動性相場がベースにあるが、目先の上値追い加速については、英米の医薬品大手で臨床の好結果が相次ぐ新型コロナワクチン開発への期待感が市場心理を強気に傾けている要因だ。また、米国ではバイデン氏が次期大統領の座を確実にし、財務長官にイエレン前FRB議長を任命するとの観測が強まったことも、株式市場にとっては好感触となっている。
現在の日米株価はやや行き過ぎに買われているイメージは否定できないものの、依然として上値指向が強い。ワクチンが首尾よく普及することを前提に、現時点で既にコロナ収束後の世界を織り込む動きといってもよい。したがって(ワクチンが思惑通りに効果を発揮しなかった場合など)リスクも内包しているが、足もとでは持たざるリスク解消の方を優先している印象だ。
おそらく、早ければ12月、遅くとも来年前半には新型コロナで傷ついた経済の修復を支援する形でFRBやECBなど欧米の中央銀行による量的緩和の動きが出てくると思われる。超金融相場の流れは当面続くことが予想され、日経平均も米国株市場を横目にリスク選好の流れが続きそうだ。ボラティリティが高まるなか、年内の上値メドは2万7500円どころを想定。下値についても深押しの可能性は否定できず、2万4000円近辺まで水準を切り下げる可能性はあるとみている。
ワクチン開発期待を原動力とする景気回復への思惑で買われている相場なので、年末に向けての物色対象は設備投資関連が有利とみており、産業ロボットや建機セクターの銘柄に相対的な上値余地が大きいとみている。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。
株探ニュース