山田勉氏【いよいよ師走相場、ラストスパートはあるか】 <相場観特集>
―新型コロナ感染拡大でも上値指向の続くマーケット―
週明け30日の東京市場は前週末の欧米株高の流れを引き継ぎ、朝方は大きく買い優勢で始まったもののほぼ“寄り天”の状態で、その後は伸び悩み後場にはマイナス圏に沈む展開を強いられた。明日から名実ともに12月相場入りとなるが、果たして東京市場は更なる高みを目指すことができるのか。2020年相場も大詰めを迎え、ラストスパートへの期待と反動安警戒の狭間で揺れ動く投資家心理。歯切れの良い見解で個人投資家にも人気の高いauカブコム証券のマーケットアナリスト山田勉氏に12月相場の展望を聞いた。
●「12月相場も上値追い基調が続く」
山田勉氏(auカブコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)
きょうは前週の4営業日続伸の反動もあって、朝高後に利益確定の動きに押される展開を余儀なくされたが、基本的に上値指向の地合いに変化はないとみている。11月相場では(前週末段階で)日経平均が3600円強の上昇をみせた。これは月間の上げ幅としてはバブル崩壊後で最高となる。当然ながら、その反動も考慮されるところだが、基本的に利益確定売りをこなして12月相場も上値追いが有望視される。
米国などを中心に新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に懸念されているが、株式市場はといえば、来年のワクチン開発・普及などを背景にコロナ克服を読み切ったような地合いである。足もとの景気は冷え込んでいても、各国政府による財政出動や中央銀行による金融緩和策が担保されている以上、強気に構えておいてよい。楽観しすぎた分の反動はありそうだが、抑圧されてきた消費ブームの到来や「グレートローテーション」「DX」「グリーンニューディール」などを手掛かりとした来年を先取りする相場は続きそうだ。
日経平均の上値メドについては、日経500が最高値を更新している事実をみても分かるように、当面は意識されるようなフシ目が見当たらない。その意味ではTOPIXの2018年1月の高値1911をどこでクリアするかがマーケットの関心事となろう。仮にNT倍率を15倍で計算すると、TOPIXの高値更新ポイントにおける日経平均は2万8665円と弾き出すことができる。
物色対象も10月までは半導体関連や電子部品、あるいはITソリューション系の銘柄が買われていたが、11月は景気敏感株の出遅れ物色に矛先が向いた。ここからは、しばらく株価的に休養していた中小型株に再び投資資金が還流する可能性がある。比較的値動きの軽い電気自動車(EV)関連や5G関連銘柄などに注目が集まりそうだ。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(やまだ・つとむ)
マーケットアナリストとして証券界で十数年活躍。2004年5月、カブドットコム証券(現auカブコム証券)入社。『こちカブ』(ラジオNIKKEI)『まーけっとNavi』(日テレNEWS24)『マーケットホットライン』(ストックボイス)などに出演。
株探ニュース