【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─ SQ週で膠着か、需給や新年期待のテーマなど手掛かりに個別物色へ

市況
2020年12月5日 8時00分

「SQ週で膠着か、需給や新年期待のテーマなど手掛かりに個別物色へ」

●方向感つかみづらく、テスラのS&P500採用も不透明要因に

11月は世界の株式市場が記録的な上昇をみせたが、その中で日経平均株価は15%の上昇を演じた。29年半ぶりの高値水準に躍り出た日本株をけん引したのは海外勢によるショートカバーであり、投資部門別売買動向において海外投資家は4週連続での買い越しとなっている。日経平均の11月の月間上昇率がNYダウ、S&P500、ナスダックの米主要株価指数を大きくアウトパフォームしたことにより、グローバルファンドは日本株比率を引き上げざるを得ない状況でもあった。さらに、米大統領選通過による待機資金の流入、MSCIのリバランス、NTTドコモ <9437> の日経平均採用銘柄からの除外に伴うリバランスなどイベントに絡んだ需給も影響した。

ただし、12月に入りさすがに急ピッチの上昇に対する過熱感が警戒されているほか、新型コロナウイルスの新規感染者数の増加なども重荷となり、日経平均は2万7000円手前で利益確定の売りに頭を押さえられている。

来週は11日が先物・オプション特別清算指数算出日(メジャーSQ)となり、先物市場では期近から期先へのロールオーバー中心の売買になりやすく、方向感をつかみづらくさせる。メジャーSQ通過後には海外勢はクリスマス休暇に入る。また、21日には米テスラがS&P500に組み入れられるが、投資家は他のS&P500構成銘柄を売却してテスラのための資金を捻出する必要がある。S&P500指数は先行き不安定になりやすく、少なからず東京市場にも影響を与えよう。

そのため、メジャーSQ通過後を意識した場合、方向としては個別物色の流れへと向かいやすく、その対象として需給が良好かつ強いトレンドが継続している銘柄のほか、来年以降も活躍が期待されるテーマ銘柄、グロースからバリューへのシフトの可能性などを想定しておきたい。なお、低位材料株は個人主体の売買で値動きが活発化しそうだが、資金の逃げ足も相当速いと見ておく必要がある。

●今週の活躍期待「注目5銘柄」

◆ヒューリック <3003>

東京23区を中心にオフィスビルや商業施設などの不動産賃貸事業を主力とする。ホテルは新型コロナの感染拡大による影響を受けているが、保有するオフィスは駅至近の好立地にあり安定的に推移。コロナ禍によるオフィス需要の先行き不透明感はあるが、米ブラックロックなど海外ファンドが日本の不動産に投資マネーを向かわせていると伝わるなかで、不動産を一段と見直す流れが期待される。

◆朝日インテック <7747>

医療機器分野で使われるガイドワイヤーなど カテーテル治療用製品を手掛ける。また、自動車や家電、OA機器、建築向けなどの産業用ワイヤー製品も展開。新型コロナの影響により、グローバルで血管内カテーテル治療の症例数が減少した影響を受けているが、国内では非循環器系領域の脳血管系、海外では循環器系領域の貫通カテーテルや脳血管系領域のガイドワイヤーが堅調。また、医療ロボット事業に参入し、2021年にも実用化する計画である。

◆SCREENホールディングス <7735>

表面処理技術、直接描画技術、画像処理技術の3つのコア技術を保有し、構成する要素技術を半導体や印刷、ディスプレー、プリント基板などに展開している。21年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結業績は新型コロナの影響により3.7%減収となったものの、採算性の改善や固定費の抑制が寄与し経常利益は前年同期比59%増で着地。半導体製造装置 (SPE) はロジック、メモリーは減少したものの、ファウンドリーが増加し、受注は会社側の想定を上回っている。5G向けの市場拡大が最も期待されるところであり、21年1月にはプリント基板向け直接描画装置の販売も開始する。

◆THK <6481>

産業機械の性能を向上させる「直動システム」の製造・販売を手掛ける。また、主力製品の技術を応用し、地震から建物を守る独自の「免震システム」を開発。新型コロナの影響で産業機器や輸送用機器事業は大きく落ち込んだが、経済活動を早期に再開した中国では回復傾向にある。センサーにより見える化を図る製造業向けIoTサービス「OMNIedge」は、適用範囲の拡大による需要増が見込まれる。

◆ブレインパッド <3655>

企業の経営改善を支援するビッグデータ活用サービスやデジタルマーケティングサービスを展開。データ分析とエンジニアリングを駆使し、データを価値に変えることで、企業のビジネス創造などを後押しする。伊藤忠商事 <8001> とデータを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に関して資本業務提携を締結。今後、さまざまな産業における顧客企業のDX化について一層の促進を図る方針である。

2020年12月4日 記

株探ニュース

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