来週の相場で注目すべき3つのポイント:米FOMC、主要各国PMI、マザーズIPOラッシュ開始
■株式相場見通し
予想レンジ:上限27000-下限26300円
来週の日経平均は、新型コロナをめぐるニュースフローと、日米の金融イベント、主要経済指標の発表を睨んで底堅さを試す展開となりそうだ。新型コロナワクチンの承認と接種が始まった。米製薬大手ファイザーに続いて、17日には米バイオ製企業モデルナのコロナワクチンがFDA(米食品医薬品局)の第三者委員会を踏まえて承認される見通しだ。一方、日米ともに感染拡大は続いており、国内では「Go Toキャンペーン」運営の見直しも報じられ始めた。経済活動への影響とコロナワクチンに対する期待が交錯している。
相場に影響の大きい発表も目白押しだ、国内では14日の寄り付き前に明らかとなる12月調査日銀短観、17日からは日銀金融政策決定会合、18日には日銀総裁会見を控える。海外では、15日にFOMC(米連邦公開市場委員会)、中国11月の工業生産と小売売上高、16日はFRB議長会見、米11月小売売上高の発表がある。東京市場は11日にメジャーSQを通過して海外機関投資家はクリスマス休暇に入り商いが減少しやすくなるなか、こうしたイベントと経済指標の発表を睨んで模様眺めムードが強まりやすくなる。
また、米国では21日に電気自動車メーカーであるテスラのS&P500指数への組み入れが控えており、需給変動が生じやすくなる見込みだ。日本でも日経平均に対する寄与度が高いソフトバンクグループの株式非公開化の思惑から生じる株価の乱高下が、指数のかく乱要因になっている。ただ、日経平均は5日移動平均線から大きく乖離することなく底堅い展開が続いている。日経平均は心理的な節目の27000円手前では上値の重さが意識されるものの、堅調な地合いが継続しそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は上げ渋りか。12月15-16日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、現行の金融緩和政策の長期化について議論される見込み。早期追加緩和の可能性は低いとみられているものの、米金融緩和策の長期化観測はドルの反発を抑える要因となり得る。
株式などにとって好材料である新型コロナウイルスのワクチン接種については、英国が先行し、米国でも12月中旬にも開始される見通し。ロシア、中国でも自国開発のワクチン接種が一部で始まっていることから、リスク選好ムードが広がりやすい。アレルギー反応へのリスクは警戒されるものの、経済活動の不透明感が払しょくされることで主要国の株高を手がかりにしたリスク選好的な為替取引が増える可能性がある。ユーロ、豪ドル、NZドル、一部新興国通貨などに対する米ドル売りが増えた場合、クロス円レートは円安方向に振れる可能性があるものの、米ドル・円はやや伸び悩む展開もあり得る。
なお、英国と欧州連合(EU)の通商協議は難航しており、英国は通商協定なしのEU離脱を選択する可能性が高まっている。ただし、期限内に合意できる可能性も残されているため、その場合はポンド買い・円売りが強まり、ドル・円の取引ではドル買いがやや優勢となる可能性がある。
■来週の注目スケジュール
12月14日(月):日・日銀短観(大企業製造業DI)(10-12月)、米・大統領選挙の選挙人投票など
12月15日(火):日・スタメンが東証マザーズに新規上場、中・小売売上高(11月)、中・鉱工業生産指数(11月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(12月)、米・鉱工業生産指数(11月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)(16日まで)など
12月16日(水):日・製造業/サービス業PMI(12月)、日・ローランドが東証1部に新規上場、日・バルミューダ/Fast Fitness Japanが東証マザーズに新規上場、欧・ユーロ圏製造業/サービス業PMI、米・小売売上高(11月)、米・製造業/サービス業PMI(12月)、パウエルFRB議長の記者会見など
12月17日(木):日・かっこ/プレイド/ビートレンドが東証マザーズに新規上場、日・日銀政策委員会・金融政策決定会合(18日まで)、米・新規失業保険申請件数、米・住宅着工件数(11月)、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(12月)など
12月18日(金):日・インバウンドテック/ココペリが東証マザーズに新規上場、日・黒田日銀総裁の会見、独・IFO企業景況感指数(12月)など
《YN》