米国株式市場見通し:今年最後のFOMCや追加経済対策の行方に注目

市況
2020年12月12日 14時43分

新年に向けた新規の買いが継続するため底堅い相場となりそうだ。FDAがファイザー開発のコロナワクチンの緊急使用を許可し、来週から速やかに接種が開始される計画であることは景気循環株の好材料になるだろう。また、トランプ大統領が選挙戦での不正を疑い法廷闘争を展開しているが、14日の選挙人投票後、結果を覆すことがさらに困難となるため政局不透明感も緩和する。追加経済対策の協議の行方や連邦公開市場委員会(FOMC)に注目したい。

ワクチンの実用化はプラス材料となるが、連邦準備制度理事会(FRB)が指摘しているように、問題はワクチンが広範に行き渡り、経済に反映されるには時間がかかることだ。新型コロナウイルス第3波で、各州で外出規制が再び強化されており、今後数カ月の雇用や経済に悪影響を与えることは必至だ。11月雇用統計でも非農業部門雇用者数の伸びが予想の半分で、過去最大の減少を記録した4月来で最小に落ち込んだほか、週次失業保険申請者数も再び増加傾向にあり12月雇用統計で雇用減少に再び転じるリスクも警戒されている。また、コロナウイルス支援・救済・経済安全保障(CARES ACT)に基づく様々な支援策が12月末で失効するため、景気の2番底を回避するためにも橋渡しとしての財政支援を継続していくことが非常に重要だ。追加経済対策が合意成立した場合は相場を一段と押し上げるだろう。

経済指標では、12月ニューヨーク連銀製造業景気指数、11月輸入物価指数、11月設備稼働率・鉱工業生産、10月対米投資(15日)、11月小売売上高、12月マークイット製造業PMI、12月NAHB住宅市場指数、10月企業在庫(16日)、12月フィラデルフィア連銀景況指数、11月住宅着工件数、失業保険申請件数(17日)、11月先行指数(18日)などが予定されている。年末商戦が本格化しており小売売上高に注目が集まる。パンデミックの影響で店舗の売り上げは停滞したが、オンラインでの売り上げは過去最大規模に膨らんでいる。

そのほか、FRBは本年最後となるFOMCを15-16日に開催する。新型コロナウイルス第3波で外出規制強化による回復停滞を抑制するため、一部では量的緩和(QE)拡大などの憶測もある。しかし、前回会合の議事録では追加緩和の実施は明確化されておらず、新政権発足前であることやワクチンの配布を控え、今会合では、資産購入プログラムのガイダンス強化にとどめることになりそうだ。

企業決算では住宅建設のレナー(16日)、半導体部品マイクロンテクノロジー、運送会社のフェデックス、食品メーカーのジェネラルミルズ、薬局のライトエイド(17日)、スポーツ用品メーカーのナイキ、レストランチェーンを展開するダーデンレストランツ(18日)などが予定されている。

パンデミック下でマイクロンテクノロジー、フェデックス、ジェネラルミルズ、ライトエイドは軒並み好決算が期待できそうだ。ナイキはアナリストの目標株価引き上げが目立ち、アジアの売り上げ回復やオンライン売上の増加で好決算を後押しできるかどうかに注目したい。また、レナーでは、コスト上昇や材料不足などで供給の遅れに警戒が必要だ。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

提供:フィスコ

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