ニッポン発のコロナワクチン、そして次世代2次電池で期待の材料が(和島英樹)
「明日の好悪材料Next」~第30回
株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
【今回チェックした「明日の好悪材料」記事一覧】
12月11日~17日は、家電メーカーなどの大幅増収増益や、今注目の全固体電池メーカーが黒字拡大の中期経営計画を発表。さらに新たな電池開発の話題もあった。また海外に先行されていた新型コロナウイルスのワクチン開発で、日の丸ワクチンが臨床試験入りなどと、話題性のある材料も目立った。
12月11日分 ヤーマン<6630> ~ ☆テクニカル・チェック銘柄
■好悪材料~上期経常が2.4倍着地・8~10月期も2.4倍増益
美容家電のパイオニアで、専業大手。通販企業へ卸売り、家電量販店への卸売り、テレビ広告での直販で展開。中国越境ECにも出店。
2021年4月期の第2四半期累計(20年5~10月)の業績を発表、売上高は187億2700万円(前年同期比62.6%増)、営業利益は40億2600万円(同2.3倍)の大幅な増収増益となった。
新型コロナウイルス感染症の拡大でインバウンド(訪日外国人)需要や外出自粛で実店舗の売上高が減少する一方、巣ごもり消費によりEC(電子商取引)を中心とした通販が増加した。
同社によれば、在宅時間が長くなり、美容健康機器が非常に好調となる中、製品ラインナップの充実や販売チャネルの多角化が奏功し、直販および海外部門が大きく売上高を伸ばし、店舗販売の不振をカバーしたとする。また直販部門は特別給付金の効果も受けた。
通期計画では売上高350億円(前期比52.3%増)、営業利益58億円(同2.3倍)、1株利益62.1円としており、営業利益の上期時点での進ちょく率は69.4%になる。
■ヤーマンの週足チャートと一目均衡表(2018年7月~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
株式チャートをみると、週足の一目均衡表では「三役好転」が継続しており、強い波動となっている。
三役好転とは上昇トレンドを示すサインで、
・ 転換線(当日も含めた過去9週間の中の高値+安値÷2)が基準線(当日も含めた過
去26週間中の高値+安値÷2)を上回っている
・ ローソク足が抵抗帯(雲のように見える部分)を上回っている
・ 遅行スパン(時価を26週間前にプロットした線)がローソク足よりも上にある
――状態を指したもの。これが逆になる「三役逆転」は強い下降トレンドを示す。
ただし、足元では調整含みとなっている。12月17日時点で転換線を維持できるかがポイント。さらに基準線がサポート価格として意識される。
12月14日分 シャノン<3976>
■好悪材料~今期経常は75%増で5期ぶり最高益更新へ
企業の営業活動に必要な情報を管理・運用するクラウドサービスを提供。統合型マーケティングサービス「シャノンマーケティングプラットフォーム」が軸。サブスクリプション(定額課金)モデルも展開
2021年10月期の計画を発表、売上高21億4600万円(前期比20.1%増)、営業利益5800万円(同44.7%増)、1株利益54.6円となる見通し。営業利益は2016年10月期の最高益4600万円を5期ぶりに上回る計画。
主力のマーケティングオートメーション(SaaS)の売上高16億1000万円(同17.7%増)、うちサブスク関連売上高が10億7000万円(同10.0%増)を見込んでいる。
■『株探』プレミアムで確認できるシャノンの四半期業績の成長性推移
前期(20年10月期)の業績は、売上高が17億8600万円(前年比3.8%減)、営業利益は4000万円(同10.7%増)となった。会社計画に比べ、売上高で2600万円、営業利益は2500万円上回る着地に。
前期が見込みより上方着地となったのは、売上面では、「マーケティングオートメーションサービス」におけるサブスク売上が予想を上回ったことがある。また利益面では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う在宅勤務の拡大、活動自粛による各種費用(旅費交通費、交際費、消耗品費)、宣伝広告費の減少などが要因だ。
クラウドマーケティング関連では、中小向けの営業支援のナレッジスイート<3999>やビッグデータを活用した顧客購入履歴データ分析による販促提案などを行うブレインパッド<3655>などがある。
12月15日分 オハラ<5218>
■好悪材料~今期経常は黒字浮上へ。また、23年10月期に営業損益30億円以上の黒字(20年10月期は17億円の赤字)を目指す中期経営計画を策定
光学ガラスの老舗メーカー。生産量で国内大手。全固体電池、耐衝撃・高輝度クリアガラスセラミックス「ナノセラム」などに注力している。
2021年10月期の業績計画を公表、売上高217億円(前期比21.4%増)、営業利益は12億円(前期は17億2400万円の赤字)、1株利益24.6円を計画している。
耐衝撃性が求められる光学機器やモバイル機器などのカバーガラス等向けの「ナノセラム」をスマートフォンの筐体向けのほか、車載用途などへの拡販を行う。また次世代のリチウムイオン電池の電解質やセパレータ、二酸化炭素(Co2)センサーなどに使われるリチウムイオン電導性ガラスセラミックス「LICGC」の寄与も期待か。
■『株探』プレミアムで確認できるオハラの通期業績の成長性の長期推移
2020年10月期は減収減益に終わった。売上高178億7300万円(前年比23.6%減)、営業損益は17億2400万円の赤字(前年は9億100万円の黒字)だった。
不振の要因は、光事業とエレクトロニクス事業を展開する中で、光事業では光学プレス品の販売低調や、エレクトロニクス事業がコロナ影響で「ナノセラム」の工程認定遅延などが響いた。
中計では2023年10月期に売上高250億円以上、営業利益30億円以上、ROE6.5%以上などを目指している。
ナノセラムについてはスマホ向けに量産化に向けた活動を実施する。また車載センサーやスマートウォッチなど向けにも展開する方針だ。
「LICGC」は全個体電池における実用化レベルの特性実現を目指すとともに、液系リチウムイオン電池の特性向上につながる添加剤としての拡販を進めていくとしている。
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