採れたて“好決算企業”を探る! 8-10月期「2ケタ増収増益」リスト <成長株特集>
1月、4月、7月、10月を本決算月とする企業の20年8-10月期(3ヵ月業績)決算がほぼ出そろった。この時期に決算発表を行う企業は少ないが、好業績を残した企業の株価は大きく値上がりするものが目立つ。そこで本特集では、8-10月期に2ケタ増収増益を達成した企業にスポットライトを当てた。
「株探」集計によると、本決算月にかかわらず、8-10月期の決算発表を終えた190社のうち、経常損益が前年同期比で増益もしくは黒字転換、赤字縮小した企業は90社だった。下表では、この90社の中から、時価総額60億円以上の銘柄を対象に、8-10月期の売上高と経常利益が前年同期比で10%以上増加した23社を選び出し、増益率の高い順に記した。
増益率トップとなったのはザッパラス <3770> 。8-10月期(第2四半期)は売上高10.8億円(前年同期比22.8%増)、経常利益4500万円(同6.4倍)に拡大して着地。メディア露出による注目度向上やサービス改善、広告宣伝費の機動的な投下などが奏功し、主力のスマートフォン向け占いコンテンツの収益が伸びた。21年4月期通期の経常利益予想は引き続き未定としたが、営業損益を従来予想の1.1億円の赤字から一転して1.6億円の黒字に上方修正している。
3位のギグワークス <2375> [東証2]は主力のオンデマンドエコノミー事業でテレワークの進展などを背景に、急速に高まるヘルプデスクやサービスデスク関連のニーズを取り込み、8-10月期(第4四半期)は売上高63.6億円(前年同期比40.5%増)、経常利益5.1億円(同3.1倍)といずれも四半期ベースの過去最高を大幅に更新した。併せて発表した21年10月期の経常利益は前期比19.5%増の12億円と5期連続の最高益更新を見込む。株価は上場来高値を更新中だ。
4位にリスト入りしたメディアシーク <4824> [東証M]の8-10月期(第1四半期)経常利益は前年同期比2.8倍の8500万円に膨らんだ。主力の法人事業でRPAツールなどの導入やシステムコンサルティング業務が伸びたうえ、コンシューマー事業ではQRコード読み取りアプリの広告収入や恋愛シミュレーションゲームが増勢だった。上期計画の3300万円を大幅に上回っており、業績上方修正が期待される。
5位のクロスプラス <3320> [東証2]はファッションマスクの販売が大きく伸びたほか、旅費交通費の減少や出荷の効率化なども寄与し、8-10月期(第3四半期)の経常利益は前年同期比2.7倍の19.8億円に拡大して着地。実に39四半期ぶりに四半期ベースの過去最高益を塗り替えた。好調な業績を踏まえ、21年1月期通期の経常利益を従来予想の3.2倍となる24億円に大幅上方修正するとともに、期末配当を前回予想の6円から18円に増額修正している。
6位のヤーマン <6630> は新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が増加するなか、美顔器などの美容健康機器が直販サイトを中心としたEC販売が急増したほか、インフォマーシャルによるテレビショッピング販売も伸びた。また、中国のECサイト「T-mall」など海外部門も好調で、8-10月期(第2四半期)は売上高99.7億円(前年同期比64.4%増)、経常利益23.5億円(同2.4倍)と業績高変化を遂げ、いずれも過去最高を達成した。
7位にリスト入りしたセルソース <4880> [東証M]の8-10月期(第4四半期)は、主力の再生医療関連事業で提携医療機関数が増加するなか、変形性膝関節症の治療などに用いられる血液・脂肪由来の組織細胞の加工受託件数が伸び、経常利益は前年同期比2.0倍の1.6億円と3四半期ぶりに過去最高益を達成した。同時に発表した21年10月期の同利益は前期比38.3%増の5.7億円に拡大し、5期連続で過去最高益を更新する見通しだ。
13位にリストアップされたシルバーライフ <9262> の8-10月期(第1四半期)経常利益は前年同期比50.6%増の3.5億円に伸び、3四半期連続で最高益更新を果たした。高齢者向け配食サービスのフランチャイズ店が増加し、調理済み食材の販売が拡大したことに加え、前期に実施した広告効果などで冷凍弁当の直接販売が伸びたことも収益を押し上げた。
選出リストは内需関連が大半を占めたが、海外売上高比率が高い企業では化学薬品メーカーのトリケミカル研究所 <4369> が16位に入っている。8-10月期(第3四半期)は最先端の半導体向けを中心に化学材料の需要が旺盛だったほか、韓国関連会社の業績好調で持ち分法投資利益が増加したことも利益を押し上げた。15日には1→4の株式分割実施(基準日は来年1月末)を発表し、株価は18日に上場来高値1万5130円をつけている。
このほか、22位のくら寿司 <2695> はコロナ禍で大打撃を受け、20年2-4月期、5-7月期と連続経常赤字に陥ったが、8-10月期(第4四半期)は一転して20.8億円の経常黒字に急回復している。人気アニメ「鬼滅の刃」とのコラボキャンペーンや「GoToイート」効果が復調の要因で、既存店売上高は9月に7ヵ月ぶり前年比プラス、10月は26.1%増と大きく伸びた。
┌ 経常利益 ┐ ┌ 売上高 ┐ 増収増益 対象 予想
コード 銘柄名 増益率 8-10月期 増収率 8-10月期 連続期数 四半期 PER
<3770> ザッパラス 543 45 22.8 1082 2 2Q -
<3903> gumi 282 650 10.1 4482 4 2Q -
<2375> ギグワークス 205 510 40.5 6367 1 4Q 31.1
<4824> メディアS 183 85 22.2 632 5 1Q 820
<3320> クロスプラス 174 1989 22.8 19715 2 3Q 5.5
<6630> ヤーマン 139 2357 64.4 9973 2 2Q 31.2
<4880> セルソース 100 162 23.9 544 1 4Q 200
<3458> CRE 96.6 684 40.5 8165 2 1Q 11.8
<4446> リンクユー 83.1 108 33.8 368 2 1Q 60.8
<6757> OSGコーポ 74.2 284 20.0 2546 6 3Q 15.0
<3031> ラクーンHD 69.1 328 25.4 1065 10 2Q 53.1
<3491> GAテクノ 57.7 1132 73.6 23280 3 4Q 98.8
<9262> シルバライフ 50.6 354 17.5 2454 3 1Q 53.0
<4996> クミアイ化 49.5 3302 15.6 27726 2 4Q 19.3
<4441> トビラシステ 40.2 122 28.2 332 2 4Q 39.9
<4369> トリケミカル 29.1 1128 28.7 2527 4 3Q 35.0
<9632> スバル 28.5 775 11.4 6453 1 3Q 9.2
<7435> ナ・デックス 27.6 471 13.5 8676 1 2Q 18.2
<3665> エニグモ 27.1 755 22.5 1755 2 3Q 27.0
<3921> ネオジャパン 21.3 251 67.0 1304 6 3Q 53.7
<3180> Bガレージ 17.7 186 15.2 4536 2 2Q 44.0
<2695> くら寿司 17.4 2080 11.0 39469 1 4Q -
<7033> MSOL 10.5 190 29.6 1429 1 4Q 47.2
※売上高、経常利益の単位は百万円。増益率、増収率は前年同期に比べた増加率、単位は%。連続期数は四半期ベースの連続回数。「-」は今期最終利益予想を非開示の企業。
株探ニュース