新興市場見通し:IPO通過後も資金回転は良好、新年相場は中小型株に期待

市況
2020年12月26日 14時31分

今週の新興市場では、マザーズ指数が週前半に大きく下落し、直近のもち合いレンジ下限だった1150ptを割り込む場面があった。新型コロナウイルス感染拡大や英国で見つかった変異種への警戒感から日経平均が下落するとともに、マザーズでもリスク回避目的の売りが出た。この間、12月22日上場のウェルスナビ<7342>などIPO銘柄が盛り上がりを見せたが、マザーズ指数の直接的な押し上げ効果はなく、むしろ既存の銘柄から投資資金がシフトしたマイナス影響があったのだろう。ただ、週半ば以降は売り一巡と既存銘柄への資金還流でやや持ち直す格好となった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.4%であったのに対して、マザーズ指数は-2.1%、日経ジャスダック平均は-0.9%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリ<4385>が週間で1.7%安となったほか、フリー<4478>が同8.2%安、AI inside<4488>が同8.9%安、BASE<4477>が同11.4%安と大きく下落した。売買代金上位では前の週に上場したバルミューダ<6612>やプレイド<4165>が売り優勢。IPOラッシュが続いたため、投資資金の移動も速かったのだろう。また、アクセルマーク<3624>などが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。一方、時価総額上位ではJMDC<4483>が同14.7%高となり、売買代金上位ではJTOWER<4485>やそーせいグループ<4565>が逆行高。また、トランスジェニック<2342>が上昇率トップとなった。ジャスダック主力ではワークマン<7564>が同2.2%安と軟調で、出前館<2484>は同17.2%安と大きく下落。また、メディアリンクス<6659>などが週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。一方、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>は同6.7%高と堅調で、ウィルソン・ラーニング ワールドワイド<9610>が上昇率トップとなった。IPOでは前の週と同じ12社が新規上場し、ウェルスナビなど好調な滑り出しとなる銘柄が多かった。

来週・再来週の新興市場では、新年相場入りでの中小型株の活躍に期待したい。年内は節税目的の損出し売りや、休暇入り前の持ち高解消の売りが出やすいだろうし、ウェルスナビなどの直近IPO銘柄もさすがに上げ一服となってきた。ただ、投資資金が後続の新規上場銘柄や既存の銘柄に循環する動きも見られ、回転はしっかり利いている印象。しばらく調整を強いられていたBASE、AI insideなどの従前の人気株は、年末にかけていったん売りを出し切ることで需給が好転してくる可能性がある。

今週、堅調ぶりが際立ったJTOWERは通信行政の追い風で、そーせいは久々のカタリスト出現で引き続き期待が持てそうだ。年末年始は各種メディアで新技術やトレンドが紹介され、関連銘柄への関心が高まりやすいため、テーマ物色の盛り上がりも期待できる。なお、来週・再来週は12月28日にフィードフォース<7068>、1月7日にドーン<2303>、8日にブロッコリー<2706>などが決算発表を予定している。

IPO関連では、12月28日にクリングルファーマ<4884>、29日にオンデック<7360>がともにマザーズへ新規上場する。クリングルはバイオベンチャーのIPOながら公開規模が小さめ。M&A(企業の合併・買収)仲介のオンデックは「掉尾の一振」への期待もあって初値を飛ばしそうだ。なお、現時点で2021年最初のIPOは発表されておらず、オンデック上場後は1カ月以上のIPO空白期間となる見込み。

《FA》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.