村瀬智一が斬る!丑年「有望株!」 <新春お年玉企画>

特集
2021年1月1日 14時00分

「カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが加速」

●引き続き過剰流動性相場による需給が相場を押し上げる

2020年の株式市場は、新型コロナウイルス感染症拡大による経済の落ち込みに対して各国中央銀行が講じた金融緩和政策による過剰流動性の供給と、コロナ後の経済正常化を期待した買いがもたらした上昇相場であったと総括できよう。日経平均株価は世界各国の新型コロナ感染拡大を受けて3月に1万6300円台まで急落したが、その後は急速に切り返した。菅政権発足などを経て、重要イベントである米大統領選が通過した11月以降は上昇基調を一段と強め、大納会を目前にして1990年8月以来となる2万7000円台を回復した。

2021年相場は、引き続き新型コロナの封じ込めによる経済活動の正常化が期待されることになろう。欧米でワクチン接種が始まり、今後もワクチン承認が続くことになる。日本では2月以降にワクチン接種が開始される予定であり、同様に期待が高まりやすい。また、経済活動が正常化するまでは各国中央銀行は現在の緩和政策を継続するとみられ、過剰流動性を背景とした需給が相場を押し上げる形になるだろう。1990年8月当時は3万円台から2万3000円台まで下落しており、テクニカルの観点からはこれを埋める形での3万円回復シナリオが想定される。

●再生可能エネルギー、DX関連などに注目

物色の流れとしては、基本的に政府主導の経済対策に関連した銘柄に引き続き関心が集まりやすい。20年10月の臨時国会で、菅政権は成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げ、グリーン社会の実現に向けて50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言した。これをきっかけに脱炭素をテーマとした物色が年後半に目立ったが、これまでと政府の力の入れ具合が異なる印象であり、再生可能エネルギー関連株は引き続き注目されよう。

20年12月半ばに国連とフランス、イギリス、日本、中国など70カ国以上の首脳が開いたオンラインの会合において、各国首脳は温室効果ガス削減や温暖化による影響の軽減に向けて取り組みを強化する姿勢を示している。また、米国はバイデン次期大統領の下でパリ協定へ復帰する見通しであり、環境関連の施策が力強く進められていくことになろう。特に各国が明確な目標を掲げたことにより、今後はどの国が最初に目標を達成できるか競争に向かうと考えられ、日本でも政府対応が加速するだろう。第26回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が21年11月に開催されるが、まずはこれを目先第1のゴールに位置づけた取り組みが期待される。

また、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するうえで必要とされる規制緩和も進むと考えられる。今般の新型コロナの感染拡大により、他国と比べて行政のデジタル化の遅れやIT活用の弱さといった課題がさまざまな場面で露呈した。コロナが収束したとしてもテレワークなど新たな生活スタイルの流れは続くとみられ、DXに関連する企業への関心も引き続き高まるだろう。

21年のイベントからみると、2月にユニバーサル・スタジオ・ジャパンに「スーパー・ニンテンドー・ワールド」が開業することから任天堂関連。渋沢栄一を題材としたNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」が放送開始予定であり、渋沢財閥の銘柄。3月は東日本大震災から10年となるため防災・国土強靱化関連のほか、通信キャリアによる新サービスが開始されることから5G関連も要注目だろう。そして7月、8月には東京五輪・パラリンピックが開催される予定だ。さまざまな対応を行って無事に開催となれば、センチメントを明るくさせよう。そして、衆院議員の任期が満了を迎える10月までに解散総選挙が実施されることになり、オンライン選挙などの関連銘柄のほか、再生可能エネ関連には改めて政策期待が高まることになるとみておきたい。一方で警戒しておきたいポイントとしては、米中対立の行方が挙げられる。21年1月からは中国で改正国防法が施行されるなど、軍事面での動きが活発化する公算となっている。

◆村瀬氏のお薦め「2021年ポートフォリオ10銘柄」

Ubicomホールディングス <3937> ……「遠隔管理など医療現場のDX」

エヌ・シー・エヌ <7057> [JQ]……「耐震住宅」

ギグワークス <2375> [東証2]……「働き方・シェアオフィス」

出光興産 <5019> ……「再生可能エネ」

ティーケーピー <3479> [東証M]……「働き方・シェアオフィス」

ベクトル <6058> ……「ネット選挙」

三菱重工業 <7011> ……「水素」

ホロン <7748> [JQ]……「半導体」

ニチコン <6996> ……「蓄電」

アスカネット <2438> [東証M]……「非接触」

2020年12月29日 記

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