明日の株式相場に向けて=米政局不安、トランプVSミスターX

市況
2021年1月12日 17時00分

3連休明け12日の東京株式市場は売り買い交錯となったが、若干買い優勢の状態で着地し、日経平均株価は25円高の2万8164円と小幅ながら3日続伸した。前日の米国株市場では相変わらず感染拡大に歯止めがかからない新型コロナウイルスへの警戒感と、今月20日に発足するバイデン新政権を前に、トランプ大統領罷免の動きが強まるなど、政局不安が嫌気された。更に国内では、菅首相が緊急事態宣言の対象を首都圏だけでなく関西3府県にも拡大することを表明したこともあって上値を重くした。もっとも、日経平均は前週後半の2日間で1000円を超える上昇をみせていたため、利食いの口実を探したい局面でもあり、その割にはしっかりした地合いであったともいえる。

米国では新型コロナウイルスの感染拡大もさることながら政局の混乱が看過できない状況となってきた。たとえヒールであってもトランプ氏の存在感は大きく、今なお彼を中心に回っていて、一方でバイデン氏の存在感は希薄だ。11月の大統領選はトランプVS反トランプの戦いだったともいえるが、それにしてもバイデン氏が史上最多の得票数を獲得したという事実に対して強い違和感を禁じ得ない、そういう声が市場関係者にも少なくない。

姿は見えずともディープステートが政権を民主党に委ねる方向で、なりふり構わずトランプ潰しに全力を傾注しているという感も否めない。ツイッターによるアカウント永久停止に限らず、メディアも挙(こぞ)ってトランプ陣営を抑え込みにかかる。トランプ氏は米大統領の資質という点で問題は多いが、これまでの政策で掲げてきたアメリカ・ファーストに偽りはなく、事実、今回の大統領選で前回よりも更に票を積み増し、国民の7000万人以上の支持を獲得している。対してバイデン陣営の不正選挙の可能性はおおむね否定できない状況にある。しかし、トランプ氏に肩入れする報道はほぼ皆無といってよい。社会主義的な色を徐々に帯びる米国。中国にとってこれは僥倖(ぎょうこう)かそれとも想定路線か。

個別銘柄では、きょうは再生可能エネルギー関連やテレワーク関連、巣ごもり関連の一角に利益確定の売りが目立った。代わって半導体関連の中小型株に物色の流れが向いている。半導体市況は改善が想定を上回り、需給が逼迫して自動車メーカーの生産調整の理由にされる状況となっている。となれば、半導体関連は足もとの業績予想が悪くても株価判断の材料とはならず、来期以降の業績に期待ということになる。

引き続き主力ではEUV向けマスクブランクス検査装置でシェアを独占するレーザーテック<6920>のほか、中小型株ではチャートの良い和井田製作所<6158>にも着目。また、水晶デバイス製造装置のトップメーカーで、かつてのレーザーテックの初動を連想させるグローバルニッチトップ銘柄、昭和真空<6384>もマークしておきたい。

産業・民生用ワイヤーハーネスで首位級のオーナンバ<5816>や5G向け電磁波遮蔽フィルムが好調なタツタ電線<5809>なども投資対象として面白い存在だ。このほか、前週取り上げた双葉電子工業<6986>や三光合成<7888>が目先動意しているが、これらは中期スタンスで継続注目したい。

あすのスケジュールでは、12月のマネーストック、12月の工作機械受注など。海外では11月のユーロ圏鉱工業生産、12月の米消費者物価指数(CPI)、12月の米財政収支など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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