明日の株式相場に向けて=大型株一服も材料株は咲き誇る
週明け18日の東京株式市場は前週末に続き利益確定の動きが優勢、日経平均株価が276円安の2万8242円と続落した。日本時間今晩の米国株市場が休場ということもあって、海外投資家の参戦が限られ、売買代金は2兆円台を割り込んだ。
米国ではバイデン新政権が20日に発足するが、これに前後して株式市場はいったん下値を試す動きとなりやすいと前週に述べたが、変化日となっていたきょうは案の定、前週末の欧米株安の流れを受けて売りに押された。ただしよく見れば、主力どころの銘柄が調整する場面では中小型株が舞い上がるケースが多い。一概に指数だけをみて投資マインドの強弱は推し量れないわけで、きょうは個人投資家の土俵であるマザーズ指数は上昇しており、前週末を引き継ぎ“続伸”となっている。
前場取引時間中に発表された中国の20年10~12月期GDPは市場予想を上回る好調だった。世界的に新型コロナウイルスの感染拡大に疲労困憊となっている状況下、発生元の中国がいち早く元気印にあることに心情的に複雑な部分もある。とはいえ、中国関連で収益を落ち込ませた銘柄にとっては素直にポジティブ材料である。中国関連株に限ったことではないが、21年3月期の業績は既に投資家目線では重要ではなく、22年3月期の業績がどうなるか、ここがポイントとなっている。
個別では半導体需給の逼迫を背景に東京エレクトロン<8035>やレーザーテック<6920>などの主力銘柄だけではなく、同関連の中小型株に順番に陽光が当たり始めている。そのなかパワー半導体向け装置などを主力に取り扱うテクノアルファ<3089>は、きょうは上ヒゲ形成となったが、12月中旬につけた昨年来高値を更新する場面があり、新局面入りを匂わせる。また、半導体検査システムのテラプローブ<6627>も昨年5月から8カ月にわたった中段のもみ合いを離脱気配にあり注目しておきたい。
エネルギー関連では時価総額3000億円を上回る大型株ながら、今年に入って足の軽さをみせるJパワー<9513>が5日移動平均線を絡め再び動意含み。また、脱炭素の理想郷にたどり着くには現実問題として電力不足をクリアする必要がある。菅政権下で次世代炉開発の動きが今後政策の後押しで浮上してくる公算が大きい。そうしたなか木村化工機<6378>は押し目を交えながらも下値切り上げ波動を継続。発電プラントを手掛け原発でも実績の高い太平電業<1968>あたりも狙い目か。
電気自動車(EV)関連ではプラスチック成形のムトー精工<7927>が面白い動きとなってきた。ここ強い動きを続けているが、テクニカル的に12月9日の戻り高値635円抜けから上値追いに弾みがつく可能性がある。米アップルのEV参戦意向が世界的な話題となっているが、日本ではソニー<6758>がこれに先立ってEV分野に注力の構えをみせ、市場の注目度も高い。そのなかムトー精工はそのソニー向けを主力としており、今後中期的にEVを絡めた業容拡大シナリオが現実味を帯びる。
更にエネルギー関連の延長で目先の投資資金を誘導しているのがレアアース関連。きょうストップ高のアサカ理研<5724>はリチウムイオン電池関連の量産工場増設という材料に反応したものだが、レアアース関連では常連に位置する銘柄だ。米中対立を背景としたレアアース確保問題は、これまで何度も俎上に載せられてきたテーマではあるが、今は脱炭素を背景としたEVシフトを背景に改めてマーケットの視線が向いている。アルコニックス<3036>などが買われたが、それ以外に松田産業<7456>や、伊勢化学工業<4107>なども強い足でマークしておきたい。
あすのスケジュールでは、国内では大きなイベントはないが、海外ではイエレン次期財務長官の指名承認の公聴会に耳目が集まる。また、1月のZEWの独景気予測指数など。(銀)