植木靖男氏【バイデン政権発足で日経平均&為替はどう動く】(1) <相場観特集>

特集
2021年1月18日 18時30分

―目先の株安は押し目買い好機か、投資スタンスを問う―

週明け18日の日経平均株価は前週末に続き下値を探る動きとなった。今週は20日に米国でバイデン次期大統領が就任し新政権がスタートする。これを前に大型の追加経済対策発表などでマーケットの耳目を集めたが、足もとでは日米ともに目先材料出尽くしの売りに押された。財政出動に前向きな政権は基本的に株式市場にはフレンドリーだが、米長期金利の動向や、それに付随する為替市場の動きなどにも少なからず影響を及ぼすだけに、先行き不透明感も漂う。新型コロナウイルスの感染状況を横目にここからの株式、そして為替の展望は。それぞれのマーケットで経験値の高いベテラン市場関係者2人に意見を聞いた。

●「ファストリの株価に着目、やや調整長引く可能性も」

植木靖男氏(株式評論家)

全体相場は足もと調整局面に入っているが、これまでモメンタム相場の色が強かっただけに反動も大きくなりがちだ。ここで直ちに積極的に買い向かって良いか悪いかは微妙で、もう少し様子を見たいところである。

全体指数は先物主導で上下に振られる展開だが、その地合いを象徴する銘柄としてファーストリテイリング <9983> に注目している。きょうは続落となったが、明日も下げるようなら1月初旬の4~6日に3日続落した時の状況と似てくる。1月初旬の3日続落は、その後に大きく切り返し全体相場も強気トレンドを維持したが、今回、仮にファストリの株価が25日移動平均線を足場にすぐに戻せないようだと、日経平均もこれに追随する形で調整が長引くのではないかとみている。

外部要因から眺めた場合、新型コロナの感染拡大については、感染者数が増えてもあまり相場の下落要因とはなりにくい。むしろ感染状況に懸念が強まると財政や金融政策が強力に打ち出されるとの思惑から、全体相場には浮揚力が働く傾向が強い。ただ、一つ注意しなければならないのは、株式市場はカネ余り相場が言われているが、実勢経済については資金供給に限界が意識され「カネ詰まり」気味になっていること。国内をみても給付金など民間事業者への資金供給に国や自治体が音を上げるムードが出てきたことは警戒要因である。

日経平均は2万8000円ラインが一つの分水嶺で、ここを下回らないで戻りに転じてくれば調整期間も少なく済み、日経平均は3月にかけて3万円大台をうかがう強調展開を維持する公算が大きい。一方、今週中に2万8000円台をあっさり割り込むようであれば、やや調整にかかる日柄も長引く可能性があり、しばらくの間、3万円大台が取り沙汰されるような雰囲気は遠のくだろう。全体相場の調整が長引かないケースを想定した場合、物色対象は景気敏感株よりも半導体関連のようなハイテク系が優位とみている。その際、半導体関連でも主力どころではなく、出遅れている中小型株に妙味があると考えている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(うえき・やすお)

慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SMBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌更に講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。

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