「寒波襲来」+「再生エネ」で人気に着火、電力設備投資関連株を狙え! <株探トップ特集>
―電力価格高騰で電力株は明暗分かれる、電線・鉄塔など投資妙味が膨らむ―
株式市場で電力関連株が注目を集めている。足もとで寒波の襲来を背景に電力価格が急騰しており、これを背景に電力需要に対する期待から電力株に見直し買いが流入している。また、「脱炭素」社会に向けた機運が高まるなか、太陽光発電など 再生可能エネルギーの活用が課題となっているが、このためには送電網の強化など電力設備投資の拡大が求められている。こうしたなか、電力設備投資関連株への関心が高まっている。
●寒波でLNGが不足、東電HDやJパワーの株価は上昇基調に
今冬の寒波到来とともに電力需給の逼迫が話題だ。東京電力ホールディングス <9501> 傘下の東京電力パワーグリッドの電力使用率は今月に入り90%を超える日が複数発生し、同社は節電の協力を要請する状況となった。また、日本卸電力取引所(JEPX)の電力スポット価格は12月下旬から急騰しており、Jパワー <9513> は停止中の石炭火力発電の緊急稼働に踏み切ることも伝えられた。
この電力需給の逼迫の要因には、記録的な寒波で電力需要が伸びたうえに、燃料の液化天然ガス(LNG)が不足したことが挙げられている。今冬の電力市場の異変は、株式市場にも影響しており東電HDやJパワーの株価は上昇基調を強めているが、その一方、新電力事業者のグリムス <3150> やイーレックス <9517> の株価は下落。ホープ <6195> [東証M]もJEPXの電力取引価格高騰で今6月期の業績に影響が出ることを明らかにしたことから株価は急落するなど、電力関連株には明暗が分かれている。
●一過性ではない電力業界の環境変化、送電網の整備が重要課題に
今冬の寒波到来による電力逼迫で注目を集めた電力関連業界だが、季節的な要因もあり春先以降は需給が緩むことも予想される。しかし、電力関連業界を取り巻く環境の変化は一過性では終わりそうにない。その大きな要因のひとつには、日本政府は「脱炭素化」に向け環境政策に力を入れるなか、再生可能エネルギーの普及に向けては、送電インフラの整備を進めることが課題となっている。
特に、送電網が不十分だと、地方で発電した太陽光や風力など再生可能エネルギーの電力を都市部に十分に送れない懸念が出ている。この送電網の弱さの解消が求められており、政府は送電網を複線化する方針と伝えられている。再生可能エネルギーの普及に向けては都市に向けた送電インフラの拡充も求められているわけだ。
●電力関連設備の更新需要も膨らみ業績拡大に期待
今後、送電網の拡充の動きが強まることが予想されるが、とりわけ 電力設備投資に関連しては、設備が更新需要を迎えていることも注目されている。電力鉄塔の過去の建設のピークは1970~1980年前半であり、すでに半世紀近くが経過している。また、東電HDの過去の設備投資金額も90年代前半がピークであり、やはり更新需要期を迎えている。今後、電力設備投資関連銘柄は更新需要による業績拡大も期待される。
●昭電線HDや巴、日リーテックなど電線、鉄塔、電力工事に注目
では、電力設備投資に絡んで、どんな銘柄が注目されるのか。東電HD系で送配電機器が主力の東光高岳 <6617> や電力機器の日本ガイシ <5333> などが挙げられるほか、とりわけ古河電気工業 <5801> や住友電気工業 <5802> 、フジクラ <5803> といった大手電線銘柄からは目が離せない。電線各社には、電力絡みに加えテレワークなどによる通信需要の拡大に伴う光ファイバー需要の増加が追い風となっている。また、再生可能エネルギーの利用に向けた電線需要が期待される昭和電線ホールディングス <5805> なども注目される。
鉄塔関連では、水素関連人気で急騰している那須電機鉄工 <5922> [東証2]には今後は鉄塔絡みの需要増も期待される。また、巴コーポレーション <1921> は電力鉄塔で実績を持つほか、大谷工業 <5939> [JQ]は鉄塔の設計・加工を手掛けている。イワブチ <5983> [JQ]は電力架線用金具で高い実績を持つ。更に、電気工事では業界最大手の関電工 <1942> やきんでん <1944> 、四電工 <1939> 、中電工 <1941> 、ユアテック <1934> 、九電工 <1959> など。サンテック <1960> [東証2]や日本リーテック <1938> にも注目したい。
株探ニュース