【杉村富生の短期相場観測】 ─ 外部環境は急好転、昨年2~3月とは違う!
「外部環境は急好転、昨年2~3月とは違う!」
●国際マネーが巨大ファンドに大挙し、流入!
世界の株式市場はやや高値波乱含みの展開となっている。まさか、昨年2~3月のような「節分天井、彼岸底」のアノマリー(説明のつかない不思議な出来事→実は機関投資家の行動パターンに起因)を気にしているのではないだろうが…。しかし、外部環境は昨年2~3月とはまったく違う。
すなわち、中国経済のV字型回復(2021年のGDP成長率予想は7.9~8.2%)に加え、各国金融当局、政府のドラスチックな政策対応(ゼロ金利、流動性の供給、財政出動の総額は1350兆円)、新型コロナワクチンの接種開始である。
したがって、株価下落を恐れる必要はない。それに、国際マネーが大挙し、株式市場に流入している。資産運用会社ブラックロックの資産は810兆円と、年間30兆円ペースで増え、ETF(上場投資信託)が中心のバンガードの資産は730兆円だ。1年間に何と、90兆円増えた。これらのファンドが“浮動玉”を執拗に吸い上げている。
さらに、日銀のETF買い(残高45兆円)のほか、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人→資産169兆円)、カルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金→同42兆円)、ノルウェー政府年金基金(同125兆円)などが存在感を高めている。彼らは流動性の高い主軸株に集中投資する。
この結果、昨年9月にはGAFA+M(グーグル:アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトの5社)の時価総額が815兆円に膨らみ、直近ではテスラの時価総額が83兆円になったりしているのだろう。
●ロビンフッダーがカラ売り銘柄を狙い撃ち!
一方、売り専門の機関投資家(巨象と称される→メルビン、シトロンなど)に対してはロビンフッダー(約1000万人)を軸とする個人投資家がチャットアプリなどを駆使し、カラ売り残の多い銘柄を狙い撃ち(コールオプションを交え、買い参戦)、売り方が「全滅」を余儀なくされている。
マーケットでは「アリの集団が象を倒した」と話題になっている。その代表的な銘柄がゲームストップだ。年初以来、株価は18倍になった。大量の売買注文の殺到に、証券会社の中にはシステム障害を引き起こし、「買い」を停止したところがある。これも過剰流動性のなせるわざだろう。
さすがに、日本市場ではこんな動き(個人投資家の暴走)はみられない。しかし、未曾有の金余りと異常な超低金利下、1000兆円もの現金、預貯金がリスク資産(メーンは株式)に向かう場面が到来するのではないか。
さて、日本市場での狙い目は昨年12月7日に366円の高値をつけたあと調整していたが、出直りの動きが鮮明なアスコット <3264> [JQ]、コロナ治療薬を開発中のペプチドリーム <4587> 、思惑妙味のアンジェス <4563> [東証M]などになろう。
このほか、星和電機 <6748> 、青山財産ネットワークス <8929> [東証2]も狙える。星和電は2月8日、青山財産は2月9日に、2020年12月期の決算を発表する。前期は大幅減益(決算期変更の星和電機は年率換算)だったが、今21年12月期は大幅増益と予想されている。
2021年1月29日 記
株探ニュース