来週の株式相場に向けて=2万9000円意識も、トヨタ決算が相場を左右
2月第1週の日経平均株価は前週に比べ1115円(4.0%)高と2週ぶりの急反発。前週は、米ゲームストップ株などの急騰を背景に、米個人投資家の投機的売買が懸念され、米株式市場が急落。これを受け、東京市場も調整色を濃くした。
しかし、ロビンフッダーと呼ばれる米個人投資家の投機的売買が市場に与える影響は限定的との見方が強まり、今週の米株式市場は反発。東京市場も、急速に値を戻した。結果として、絶好の押し目を提供したのかもしれない。「相場の基調を決めるのは、需給より業績であり第3四半期決算の好内容を市場は好感している」(アナリスト)との見方は少なくない。
日本電産<6594>、任天堂<7974>、そしてソニー<6758>と東京市場の主力銘柄はそろって業績の大幅上方修正を発表している。ソニーの場合、21年3月期連結営業利益は7600億円前後への増額観測があったが、ふたを開ければ9400億円への大幅な上方修正となった。また、市場を活気づけた銘柄にデンソー<6902>が挙げられる。同社は今期営業利益を1000億円から1500億円に見直したが、これは「自動車関連の強さを裏付けた」(市場関係者)格好となり、IT・デジタル系に限らない幅広い物色につながっている。
来週は、12日に700社強が発表を行うなど決算シーズンは佳境を迎える。特に、8日にはソフトバンクグループ<9984>、10日にはトヨタ自動車<7203>が決算を発表する。とりわけ、トヨタの決算内容と市場の反応が関心を集めそうだ。同社が好業績を発表し、株価も上昇基調を強めれば、日経平均株価も昨年来高値更新から2万9000円を意識する展開が期待できるかもしれない。
上記2社以外では、8日に住友金属鉱山<5713>、9日に日産自動車<7201>、10日に三菱地所<8802>、12日に東芝<6502>、SMC<6273>、日本郵政<6178>などが決算発表を行う。10日には東証マザーズにアールプランナー<2983>が新規上場する。
経済指標では、8日に1月景気ウォッチャー調査、9日に1月工作機械受注が発表される。海外では10日に米1月消費者物価指数の発表が予定されている。11日から17日まで中国は春節の休みとなる。来週の日経平均株価の予想レンジは2万8400~2万9100円。(岡里英幸)