明後日の株式相場に向けて=ビットコイン狂騒曲はまだ終わらない

市況
2021年2月10日 17時00分

きょう(10日)の東京株式市場は日経平均株価が57円高と4日続伸した。足もとでは目先高値警戒感が意識される一方、先高期待も根強く強弱観が対立するなか、朝安後に下値で押し目買いが入り、前日終値を挟んでのもみ合いとなった。結局、引け際にポンポンと急斜面を駆けのぼるように水準を切り上げ、この日の高値で着地した。騰落レシオの面からは既に過熱ゾーンに足を踏み入れているが、前日同様に日経平均は高くても、値下がり銘柄数が値上がり数を上回っており、急な指数の上昇は回避されている。

注目されたトヨタ自動車<7203>の決算発表は午後1時25分に開示されたが、21年3月期の営業利益について従来計画の1兆3000億円から2兆円(前期比17%減)に大幅上方修正した。ある程度は予想されていたが、マーケットがこれをどう評価するかに注目が集まった。結果的にはこの上方修正は素直に評価される形で、発表直後に同社の株価は256円高の8250円に買われ、この日の高値をつけた。これは全体相場にとっても安心感につながったといえる。自動車販売はコロナ禍にあっても中国と北米での復調が著しい。自動車業界は半導体不足による生産調整という思わぬ逆風は吹いたが、これは供給する側の課題であって旺盛な需要そのものに水を差すものではない。当該企業が展開するビジネスに需要があるかないかが重要で、業界を問わず株価面の評価はそこに集約される。

個別株物色では、手掛かり材料としてビットコインの急騰が話題となっている。米EV大手のテスラが15億ドル相当のビットコインを購入し決済手段として受け入れる方針を表明、これが思惑を呼び、ビットコイン価格を強烈に押し上げたのは周知の通り。これを受け流動性リスク浮き彫りとなるなか、“決済革命”を巻き起こすにはまだ時間を要すとの識者の見方を裏付ける格好ともなった。しかし、今回の“テスラ効果”は単なるバブルのアダ花ではなく、ビットコインの今後の可能性も十分に示唆されたことで、東京市場では仮想通貨関連に位置づけられる銘柄が相次いで動意するなど、テーマ買いの動きに発展しつつある。

象徴株としてはマネックスグループ<8698>が8連騰で存在感を示すほか、SBIホールディングス<8473>も水準を大きく切り上げている。前日取り上げたクシム<2345>などもその一角。そのほか、穴株ではギグワークス<2375>が注目される。同社はエンジニア派遣やコールセンターコンサルティングなどの人材派遣ビジネスを展開するが、ブロックチェーン技術を深耕しており、株主優待の一環として同社グループでマイニングしたビットコインを贈呈している。足もとの業績も好調に推移、21年10月期は営業利益段階で前期比20%増の12億円を予想している。

このほか、半導体セクターの中小型株に投資家の目線が向かうなか、半導体専門商社で3.8%前後の高配当利回りながらPBR0.5倍前後と解散価値の半値水準に位置している伯東<7433>に着目してみたい。半導体に限らず高い技術力や競争力を有する国内企業は、小型株で流動性が低いからといって、日本株に虎視眈々の海外投資家の視線から外れることはない。光学機器関連のテクノホライゾン<6629>の1000円トビ台でのもみ合い、水晶振動子用・周波数調整装置でグローバルニッチトップに位置する昭和真空<6384>、同じくニッチトップとして自動車排ガス浄化触媒材を手掛け、株価も新値圏を走る第一稀元素化学工業<4082>などに目を配っておきたい。5G関連の穴株では、独立系電気設備工事会社で海外でも実績があるJESCOホールディングス<1434>が昨年コロナショック以降、淡々と上値を指向している。

明後日のスケジュールでは2月のオプションSQ算出日にあたる。企業の決算発表ではSMC<6273>、東芝<6502>、オリンパス<7733>などが予定されている。海外では、ロシア中銀の金融政策決定会合、2月の米消費者信頼感指数(速報値・ミシガン大学調査)などが予定される。なお、中国、香港、台湾、韓国、シンガポールなどアジア株市場が休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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