【杉村富生の短期相場観測】 ─ 株式投資は仕掛けのタイミングが“命”!
「株式投資は仕掛けのタイミングが“命”!」
●テーマ性にだって、はやり、すたりがある!
経験豊富な投資家の皆さんにとって、これは「釈迦に説法」の類(たぐ)いの話だろう。失礼なことは十分に承知している。株式投資は仕掛けのタイミングが“命”である。いかに、テーマ性を内包した好業績の銘柄だって、高値ゾーンでの飛びつき買いは利食うのに苦労する。
もちろん、ひたすら値動きを追う短期・順張りは高いところを買って、より高いところを売る、ないしは売らない(大幅利食いを狙う)戦法だ。ただし、日足陽線の本数とか、移動平均線の長期線と短期線とのカイ離、出来高、信用残高(規制強化)の動向など最低限のチェックは必要だろう。
そうでないと、買っては投げ(ロスカット)、買っては投げ、もしくは“塩漬け”の山を築く悲惨な結果に陥る。だからこそ、仕掛けのタイミングが大事だ、と主張している。これは株価の水準(高い、安い)の問題だけではない。テーマ性(物色の流れ)には旬(はやり)、すたりがある。この見極めが肝要になる。
すなわち、現在の物色傾向は(1)景気敏感セクター(コロナ制圧、景気回復を先取り)、(2)ウィズ(ポスト)コロナセクター、(3)グロースセクター(イノベーション→技術革新を武器に成長)、(4)政策関連セクター(カーボンニュートラル→脱炭素)、(5)コロナ“メリット”?セクター(電子カルテ、医療機器など)に大別できる。
●景気敏感セクターとグロースセクターの交互物色!
景気敏感セクターは鉄鋼、非鉄金属、自動車、海運、金融、住宅、運輸などだ。特に、自動車、住宅が強い。トヨタ自動車 <7203> はアメリカ、中国の販売好調に加え、円安メリットを享受している。住友林業 <1911> はアメリカ事業が伸び、好業績を支えている。
ウィズコロナセクターは観光、飲食、鉄道、小売り、不動産、百貨店、航空などになる。本来のウィズコロナの意味は「コロナとの共存」である。ただ、株式市場ではコロナショックに対応、必死のリストラを断行するとともに、構造改革を推進、ポストコロナの局面においてV字型の回復が期待できるグループとして広く使っている。
すなわち、エイチ・アイ・エス <9603> が好例だろう。JR東日本 <9020> 、三越伊勢丹ホールディングス <3099> などもそうだ。青山財産ネットワークス <8929> [東証2]、アスコット <3264> [JQ]は好業績を評価する場面があろう。
(3)のイノベーションは2021年相場のメーンテーマである。技術革新が成長を支える。その範囲はEV(電気自動車)、5G(第5世代移動通信システム)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、EC(電子商取引)、ビッグデータ、自動運転、半導体、電子行政など幅広い。ここ動きが鈍かったが、ハイテク中心のナスダック市場は堅調である。
一方、国策に沿う(4)の再生可能エネルギー、(5)のコロナ“メリット”?セクターはどうか。ともに20年以降、大きく買われている。やや食傷気味だ。ここは、サプライズがほしい。ありきたりの材料では人気を集めるのは難しい。そう、この世界では「買ったらおしまい」という。
さて、このセクターの銘柄としては値動き良好な太陽光発電関連の三晃金属工業 <1972> 、エヌ・ピー・シー <6255> [東証M]、アンモニア関連の荏原実業 <6328> が面白い。そのほか、個別銘柄ではNexTone <7094> [東証M]、SEMITEC <6626> [JQ]、PKSHA Technology <3993> [東証M]に妙味があろう。
2021年2月12日 記
株探ニュース