景況感の改善期待が高まり、30年半ぶりに3万円の大台回復【クロージング】
15日の日経平均は大幅反発。564.08円高の30084.15円(出来高概算12億7591万株)と1990年8月以来約30年半ぶりに3万円の大台を回復して終了した。前週末の米国株高や国内では2020年10-12月期の実質国内総生産(GDP)成長率が市場予想を上回る良好な内容となったほか、新型コロナウイルスワクチンが国内に到着し、月内にも医療従事者への接種が始まるため、経済活動の正常化へ向けた動きも加速してくるとの見方も投資家心理の改善につながった。寄り付き後早い段階で3万円を回復した日経平均は目先的な目標達成感から利益確定売りも散見されたが、3万円を挟んでの高値圏での推移が続いた。
東証1部の騰落銘柄は、値上がり銘柄数が1300を超え、全体の6割を占めた。セクター別では、鉱業が5.52%と大きく上昇したほか、精密機器、石油石炭、銀行が2%を超える上昇となった。半面、空運業、繊維、ゴム製品、海運、電力ガスが小幅に下落している。指数インパクトの大きいところでは、ファーストリテ<9983>が1社で日経平均を約141円押し上げたほか、ソフトバンクG<9984>、オリンパス<7733>、ファナック<6954>、エムスリー<2413>が堅調。一方、楽天<4755>、SUBARU<7270>、大塚HD<4578>、花王<4452>が冴えない。
2020年10-12月期の実質GDP成長率が市場予想を上回る良好な内容となったほか、ワクチン接種が国内で始まることが投資家心理の改善につながった。需給面では寄り付き後早い段階で、2月SQ値(29718.77円)を一気に突破したこともありショートカバーに向かわせた格好である。3万円回復後はこう着感が強まっていたが、午後に入ると、米国市場上場の日本株ETFのコールオプションが急増していることなどが判明したため、海外ヘッジファンドなどによる225先物買いが再び流入し、高値圏での底堅さにつながったようである。
きょうの上昇は景況感の改善が素直に評価された形であり、市場関係者の間では当面この流れが継続するだろうとの見方が多く聞かれる。一方、日経平均は年初から調整らしい調整がないなかで水準を切り上げており、高値警戒感を指摘する向きがいるのも確か。また、景気の回復傾向を背景に米国では長期金利が昨年3月以来となる1.2%台へ上昇するなど、金利の上昇傾向が強まっている。このため、米金利がさらに上昇傾向を強めてくれば、内外の機関投資家の資金が株式から債券にシフトする可能性もあるだけに、米金利の上昇が株式相場の調整入りのシグナルになることも意識しておく必要がありそうだ。
《FA》