明日の株式相場に向けて=怒涛の日本株買いの内幕

市況
2021年2月16日 17時00分

きょう(16日)の東京株式市場は強力なリスクオン相場が継続、日経平均株価は383円高の3万467円と大幅続伸。取引時間中は600円を超える上昇をみせる場面もあった。強気で鳴らす市場関係者ですら「3万円大台ラインは通過点というような常套句をよく同業者は使うが、3万円に乗せた後、もし本当にノンストップで(1000円単位の)大台を変えていくとなると、さすがに戸惑う」(国内証券ストラテジスト)と本音を漏らす。

全体をみれば主力大型株に偏った買われ方で、中小型株は引き続き活況相場の恩恵を受けにくい地合いが続いている。何といっても日経平均が600円高ともなれば個別も全面高をイメージするところだが、実際は600円以上の上昇をみせているさなかにあっても値下がり銘柄数が値上がり数を上回るという状況で、全体指数の動きと実際の相場の体感温度はかなりのカイ離が生じている。きょうは大引け段階では日経平均がクールダウンして380円あまりの上昇で取引を終えたが、結局東証1部の値下がり銘柄数は1250あまりに達し、値上がり数を400も上回った。

個別では、ファーストリテイリング<9983>の値運びが圧巻だった。前日同様に怒涛の上げ足を披露、ファンダメンタルズ度外視の今の強調相場の実態を象徴した。同社株は日経平均寄与度の最も高い値がさ株として知られるが、きょうも一時4000円を大幅に上回る上昇で10万円の大台ラインを軽々と突破した。日経平均の3万円ラインが通過点ならば、こちらは10万円大台ラインが通過点、と言わんばかりの買われ方である。

ワクチンの普及で新型コロナウイルスが収束に向かうのであれば、ユニクロ店舗に客が戻り、これまでの日常的な収益環境を取り戻すことが可能となる。確かにファストリにとってはプラス材料だが、ではもしも新型コロナが最初から存在しなかったらどうだったか。同じ時間軸で同社株が10万円大台乗せを果たせたかといえば、答えはおそらくノーであろう。将来の成長モデルは描けたとしても、PER64倍で買われ続ける業態ではない。つまり、海外マネーは世界的なカネ余りの中で、「日経平均」を買いに来ている。これが人間の相場観なのかAIのなせる業なのかは置くとして、個別ではなくバルクで日本株を買い漁りに来ていることは確かであり、それがファストリの株価動向に投影されている。

今の日経平均はバブルにはまだ遠いと強弁することは可能だが、バブル的な色彩を帯びているということはいえる。例えば生活に影響を与える部分で悪性インフレの兆候がみられれば中央銀行は金融緩和の蛇口を締めなければならない。しかし、少なくとも今はそういう環境にはない。ビットコインがバブル化しているのは分かるが、マネーゲームは局地的な領域にとどまっている。この時期に世界的なコンセンサスとして財政も金融も締める方向に転換する道理がなく、当分の間は、途中ガス抜きを利かせながらも超金融相場の急勾配を上り続けることになる。

前述したように、中小型株は足もと決して順風環境ではない。きょうも2部指数と日経ジャスダック平均はマイナス、マザーズ指数は続伸しているが上げ幅は0.5%に過ぎない。主力株は買いにくいとはいえ、ファンダメンタルズを考慮して追撃スタンスをとれる銘柄といえば、ソニー<6758>が挙げられる。PERは14倍だ。

中小型株については辛抱も必要だが、直近取り上げた旭化学工業<7928>やギグワークス<2375>など現在進行形で買われている銘柄ももちろんある。マザーズ市場の直近IPO銘柄QDレーザ<6613>についてはストップ高連発で、マネーゲーム的な様相も否定できないが、量子ドット型レーザーというニッチ分野の雄としての存在感で投資資金を誘引している。このほか、押し目を待ち伏せ的な感覚で狙うのであれば半導体関連の株価3ケタ台の銘柄が魅力的に映る。三社電機製作所<6882>、日本トムソン<6480>、そして半導体商社のPALTEK<7587>や栄電子<7567>などが挙げられる。

あすのスケジュールでは、20年12月の機械受注統計、1月の貿易統計、1月の訪日外客数など。海外では1月の米小売売上高、1月の米卸売物価指数、1月の米鉱工業生産指数、12月の米企業在庫など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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