【杉村富生の短期相場観測】 ─ 日米両市場ともに波乱だが、懸念は無用!
「日米両市場ともに波乱だが、懸念は無用!」
●銀行、富裕層が興味を示すアート運用!
個人の資産運用の幅が広がりつつある。かつては株式、不動産が中心だったが、近年はFX(為替)、ビットコイン、原油などが投資対象となっている。そうした状況下、残されたマーケットがアート(美術品)の世界だろう。すでに、保有資産3000万ドル超の富裕層は資産の5%程度をアートに投じている、という。
現在、世界のアート市場は641億ドルといわれている。約6.8兆円だ。アート市場はアーティスト、コレクターのほか、オークションハウス、ギャラリー、学芸員など多様な人達によって形成されている。やはり、ここは株式市場と同様に、新作中心の「プライマリー市場」と既存作品の「セカンダリー市場」に大別できる。
価格の推移を知るには、世界の美術品情報を手掛ける仏Artpriceのデータが参考になる。ちなみに、評価が確立された作品は高止まり、新たに注目されるようになったアーティストの作品はボラティリティが高い(妙味あり)という。特に、話題を集めているのが「花田和治」(2017年没)の絵画である。
彼を発掘したのはNEW ART HOLDINGS <7638> [JQ]だ。宝飾品がメインだが、同社の白石幸生社長は画商として有名だし、子会社が絵画を販売している。21年3月期の1株利益は86円の予想、配当は20円増の50円とする。株価は急動兆を示しているが、ここは買える。
欧米の金融機関はアートの専門部署を設け、日本の金融機関が新たな収益源とみてアートビジネスを強化している。いまこそ、この会社(NEWART)の専門知識が活かされるのではないか。
●日本はマクロ、ミクロの両面が良好!
一方、株式市場はどうか。足もとの相場は大荒れの状況だが、懸念は無用だ。日経平均株価は長期的に3万8915円(1989年12月29日の史上最高値)挑戦の動きとなろう。現在、日経平均の1株利益(予想ベース)は1340円前後だ。PER は22倍台にとどまっている。バブル時は50倍を超えていた。PERは半分以下の水準である。
日本はマクロ(景気実勢)、ミクロ(企業業績)ともに良好だ。モメンタムは強い。企業業績では21年3月期の第3四半期は5社に1社が最高純益となったし、サプライズ決算が相次いでいる。ソニー <6758> 、デンソー <6902> 、ファナック <6954> 、村田製作所 <6981> などがそうだ。これは投資価値の向上を意味する。
収益構造が激変した企業もある。日本郵船 <9101> 、商船三井 <9104> が好例だろう。21年3月期の1株利益は日本郵船が533円(配当は90円増の130円)、商船三井が502円(同35円増の100円)の予想だ。いや~、超優良企業である。体質改善効果に加え、世界景気の回復(海運市況の上昇)のメリットを享受している。
小物ではテクノホライゾン <6629> [JQ]、カンダホールディングス <9059> [東証2]の好収益に注目できる。21年3月期の1株利益はテクノホライゾンが126円、カンダホールディングスが129円の予想だ。PERは7~8倍にすぎない。成長性に乏しい? いや、飛躍のチャンスを迎えている、と思う。
2021年2月26日 記
株探ニュース