雨宮京子氏【米長期金利上昇で警戒モード、波乱は続くか】 <相場観特集>

特集
2021年3月1日 18時30分

―日経平均3万円台割れ、ここからの展望と個別銘柄―

名実ともに3月相場入りとなった週明け1日の東京市場だが、前週末に日経平均が1200円強の下落をみせた反動で買いが先行した。米10年債利回りの上昇は警戒されるものの、下値では出遅れた向きの押し目買いが厚く、目先切り返し歩調にある。ただ、きょうの上げは前週末の下げ幅を埋めるにはほど遠い状況で、投資家の気迷いムードも感じられる。ここは追撃買いかそれとも様子見か。相場展望及び個別株について、個人投資家にも人気が高い経済ジャーナリストの雨宮京子氏に意見を聞いた。

●「3月相場は下値警戒、個別株勝負の月に」

雨宮京子氏(経済ジャーナリスト)

3月相場の出足は前週末急落の反動で日経平均はリバウンドでスタートした。とはいえ3月という月は決算期末を前に機関投資家のポジション調整の売りが絡み乱高下しやすい傾向がある。昨年の日経平均はコロナ禍という特殊事情があったとはいえ、3月19日に安値をつけた。また、リーマン・ショックの暴落時に終値ベース7000円トビ台で歴史的な安値をつけたのも3月だった。だから今年も3月に安値をつけに行くとは言わないが、要警戒の月であるという認識は持っている。

半導体関連株や電子部品株の上値は当面は重そうだ。機関投資家が3月期末に向け利益確定のアクションを起こすとすれば、これらのセクターはその対象となる。したがって押し目買いは入っても上値では五月雨的な売りが株価の戻りを阻むことが予想される。米長期金利の動向も注視されるが、いったん落ち着いたとしても基本的に一度火がついたものはそう簡単には収まらず、株式市場の撹乱要因となり得る。3月期末に向けて全体指数も上下に変動率が高まる可能性が高い。当面の日経平均のレンジは下値2万8400円前後とみており、上値は3万200円前後を想定している。

個別株は主力大型が手掛けにくく、個別に成長テーマを持つ材料株やリベンジ消費関連の一角に注目している。まず、中国で不動産投資を加速させている宮越ホールディングス <6620> の1100円近辺は狙い目とみている。また情報セキュリティー関連ではNo.1 <3562> [JQ]が面白い。更に、直近IPO銘柄の中から、網膜走査型レーザーアイウェアで高い技術力を有しているQDレーザ <6613> [東証M]も継続マークしたい。リベンジ消費関連では旅行会社大手のエイチ・アイ・エス <9603> や、飲食店向け店舗賃貸事業を展開するテンポイノベーション <3484> などに上値余地が見込まれる。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)

経済ジャーナリスト。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。

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