【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 動揺続く株式市場、3月相場の突破口は"配当"にあり!
「動揺続く株式市場、3月相場の突破口は“配当”にあり!」
●上昇する米長期債利回りが市場の攪乱要因に
前回の本コラムでは、冒頭で「東京市場、いや米国市場、さらには世界各国の市場が目下深刻な問題に直面している」と述べた。
それから、1週間。市場の攪乱要因となっていた米10年債利回りが、2月25日につけた1.61%から1.4%前後まで下げたことで市場はいったん落ち着いた。しかし、すでにご存じのように利回りは再び上昇し、米国時間3月4日には1.57%をつけた。
これで、 東京市場はまたもやギブアップに。ともかく、株式市場は米長期債利回りの上昇に弱いのだ。なぜか? 現在、S&P500の利回りは1.5%前後。長期債利回りがこの水準を超えると、株式市場に投じられている資金が債券市場に向かう恐れがあることになる。
実際は、簡単には移動しない。しかし、機関投資家たちが「どうしようか…」と考えはじめることは間違いない。そして、さらに10年債の利回りが1.75%に上昇したらどうなるか。ここまで上がると、実際に資金を移し始める。機関投資家たちはそこまで見通して動いていることになる。
そんな彼らの投資姿勢を、「先を見すぎ」「神経質すぎる」と批判しても始まらない。市場を動かすのは、彼らだからだ。では、このような局面に我々はどう対応したらよいのか。
●東京市場は広い、打開策は必ず見つかる
米長期債利回りは、目先は再び下げて市場も落ち着きを取り戻すだろうが、しばらくすると再度上昇--こうなる恐れがあるため、投資対象とする領域を米長期債利回りの影響が少ない、または影響を受けたとしても軽微で済む分野としたい。
そんな領域があるのか。あるのだ。東京市場は広いのだ。
そこで、いまは3月という特殊な月であることを考えたい。どこが特殊なのか。3月は1年の中で最も配当取り投資が多くなる時期。そのため、たとえ高配当銘柄ではなくても、安定配当が続いている銘柄には買いが集まり、月末にかけて株価も上がりやすくなる。
この観点から、まずは武田薬品工業 <4502> になる。この会社は予想1株当たり利益が115円ほどなのに、180円の配当を予定している。稼ぎ以上の配当をしている点、個人的には無理をしていると思うが、株主にとっては有り難い。ここから買いが入りやすいと見てよい。
安定配当では三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 、日本郵政 <6178> 、オリックス <8591> がある。特にオリックスは配当取り投資に積極的な投資家たちにとっては、JT <2914> とともにスター株的な存在である。いまは調整中ながら、月末にかけて期待が持てる。では、JTはどうか。喫煙に反対なので、私は取り上げるつもりはない。
総合商社株も安定配当を続けているため、配当取り目的ならどの銘柄も投資魅力があるが、なかでも伊藤忠商事 <8001> が魅力的だ。中国ビジネスに強いからだ。
最後に発行済み株式数の20%超の自社株買いを発表したリコー <7752> だ。4日にはストップ高、5日も続伸して明らかに高値圏ながら、20%を越える自社株買いは驚異的。株価は目先小反落はあっても、続伸する確率の方が高いと見てよい。
2021年3月5日 記
株探ニュース