迫る3月IPO、年度末飾る大化け候補ルーキー銘柄を狙え <株探トップ特集>

特集
2021年3月9日 19時30分

―13社が登場、「ココナラ」や「Appier Group」など注目―

3月IPOが16日からスタートする。例年、年度末の3月は、12月とともにIPOの銘柄数も多く盛り上がる時期だが、今年は13銘柄が登場する予定。全体相場は米国の長期金利上昇もあり、方向感に欠ける展開となっているが、気迷い相場こそ株価にシコリがないIPO銘柄に人気が集中しやすい地合いとなる。市場では、ココナラ <4176> [東証M]やAppier Group <4180> [東証M]などIT系企業への関心が強く、IPO人気の継続が期待されている。注目を集める3月IPOの行方を探った。

●2月はQDレーザなど人気に、調整相場ならIPOに資金流入も

3月IPOでは13社の登場が予定されている。3月は例年20社近くが上場していただけに、今年はやや控えめだ。その代わり4月IPOは、すでに数社が発表されており、「4月にやや後ずれする動きもあるのでは」(市場関係者)との見方も出ている。それでも昨年4月以降では、12月の26社に次ぐ上場企業数となる。3月上場の内訳は、東証1部が1社、東証マザーズが10社、ジャスダックが2社というものだ。

21年の先陣を切った2月IPOには7社が登場。今年の第1号銘柄となったQDレーザ <6613> [東証M]は公開価格の2.3倍で初値をつけ、その後も値を上げ一時、同価格の6倍まで上昇する人気となった。残る6銘柄も全て初値は公開価格を上回り、WACUL <4173> [東証M]は4.4倍、アピリッツ <4174> [JQ]も4.7倍と人気化した。気になるのは、2月相場は日経平均株価が3万円に乗せるなど上昇基調を強めたのに対して、足もとのマーケットは米長期金利の上昇もあり調整機運が出ていることだ。この点に関しては「市場が急落すれば別だが、調整程度なら株価のシコリがないIPO銘柄は逆に一層注目を集めるだろう」(市場関係者)とみられている。

●ウイングアーク1stは3度目の挑戦に

そんななか、3月IPOは16日に東証マザーズに上場するヒューマンクリエイションホールディングス <7361> [東証M]と東証1部に直接上場するウイングアーク1st <4432> から始まる。HCHDはITエンジニアの派遣を手掛ける。投資ファンドの保有株が放出される点は懸念材料だが、時価総額は40億円程度と小さい。ウイングアーク1stは、帳簿ソフトの開発などを手掛ける。13年まで東証2部に上場していたが、MBOで上場廃止。その後、再上場に向け19年、20年と承認を受けたが、ともに上場を中止しており、今回は3度目の挑戦となる。東証1部上場で売り出しのみ。資金吸収額も200億円近いため、上値は重い可能性がある。

●スキル売買のココナラへの注目度高い

18日に東証マザーズに上場するi‐plug <4177> [東証M]は新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」を運営。資金吸収額は10億円台が見込まれ規模は小さく値は飛びそうだ。19日にはT.S.I <7362> [東証M]が東証マザーズに上場する。T.S.Iはサービス付き高齢者向け住宅の建築および介護サービスを展開。時価総額も30億円前後が見込まれ小型だ。

市場の注目度が高いのが同じく19日に東証マザーズに上場するココナラだ。オンラインでさまざまなスキルを売買できるサービスを手掛けている。ウェブ制作を請け負ったり、語学や料理、音楽などをネット上で教えたり、あるいは発注元や生徒となりサービスを受けたりすることがネット上でできる。業績は21年8月期で黒字転換の見通し。資金吸収額は最大で170億円近辺が見込まれやや大きいが、人気が期待されている。

●シキノハイテックやベビカレンダなど時流に乗る

20日以降の登場銘柄は資金吸収金額が小さい企業が多く、値が飛ぶ展開が見込める。24日にジャスダックに上場するシキノハイテック <6614> [JQ]は半導体検査装置の開発・製造などを手掛けており、半導体関連人気に乗る。また、24日にはSharing Innovations <4178> [東証M]、25日にはベビーカレンダー <7363> [東証M]がともに東証マザーズに新規上場する。Sイノベはシステム開発を手掛けている。ベビカレンダは妊娠・出産・育児向け情報メディアの運営を行っており、少子化対策関連などのテーマに乗る。

30日に東証マザーズに新規上場するスパイダープラス <4192> [東証M]は建築図面・現場管理アプリを開発・販売。テレビCMも展開している。資金吸収額は80億円前後、時価総額は300億円台が見込まれやや大きめだ。

●台湾系AI企業のAppier Groupに高い関心

同じく30日に東証マザーズに上場するAppier Groupは12年に台湾で設立されたIT企業で、マーケティングとセールス関連などで人工知能(AI)技術を応用したサービスを提供する。ソフトバンクグループ <9984> やLINEが出資した実績があり、今回、東京市場でのIPOを果たす。想定される資金吸収額は200億円強で、時価総額は1400億円前後と大きくユニコーン企業の上場となる。アジア企業の東京市場への上場ではネクソン <3659> を想起する見方があるが、市場からは「規模は大きいものの、AI関連で物色される可能性はある。短期に限らない中長期的な株価の成長を期待したい」(アナリスト)との見方が出ている。

■3月IPO銘柄一覧

上場日 コード・市場  銘柄名                  主幹事

3月16日 7361・東マ ヒューマンクリエイションホールディングス  SMBC日興

3月16日 4432・東1 ウイングアーク1st            野村

3月18日 4177・東マ i‐plug                大和

3月19日 7362・東マ T.S.I                 野村

3月19日 4176・東マ ココナラ                  大和

3月24日 6614・JQ シキノハイテック              みずほ

3月24日 4178・東マ Sharing Innovations   SBI

3月25日 7363・東マ ベビーカレンダー              SBI

3月25日 4179・東マ ジーネクスト                SMBC日興

3月26日 9327・JQ イー・ロジット               いちよし

3月26日 7343・東マ ブロードマインド              みずほ

3月30日 4192・東マ スパイダープラス              野村

3月30日 4180・東マ Appier Group          SMBC日興、みずほ

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