【杉村富生の短期相場観測】 ─ 肝要なのは常に、リスクを取る勇気!
「肝要なのは常に、リスクを取る勇気!」
●アメリカでは消費ブームが到来する!
マーケットは米長期金利の動向(3月18日の10年物国債利回りは1.71%超)に、振り回されている。これはミニショックを引き起こした2月末(1.61%強)を上回る水準だ。金利上昇を嫌気し、IT(ハイテク)系企業の多いナスダック市場は売り物に押されている。しかし、過度の悲観は禁物と思う。
米バイデン政権の財政出動(昨年の実行ベース1.7兆ドルに対し、今年は3.5兆ドルと倍増)に加え、ワクチン接種は5~6月には完了(集団免疫体制の確立)する予定だ。景気は明らかに回復軌道に乗っている。いや、爆発的な消費ブームが起きる可能性がある。
なにしろ、2~5月には邦貨換算30兆円の所得税の還付が行われるし、家計には自粛期間中に3兆ドルのMMF(流動性の高い短期資金)が積み上がっている。さらに、株式5兆ドル、不動産の含み益2兆ドルを合わせると、10兆ドルの待機資金が存在する。これは第2次世界大戦直後以来のスケールという。
アメリカでの売上高比率の高いSUBARU <7270> 、竹内製作所 <6432> 、キッコーマン <2801> 、クボタ <6326> 、テルモ <4543> 、セイコーエプソン <6724> 、ダイキン工業 <6367> 、住友林業 <1911> 、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> などはメリットを受けるだろう。
一方、FRBのQE(量的金融緩和→国債買い入れ)は3.5兆ドルが1.44兆ドルと半減する。パウエル議長などFRB首脳は「経済の正常化によって、金利が上昇するのはやむを得ない」と発言している。この背景には消費ブーム(インフレ懸念)を警戒していることがあろう。だが、金利上昇を放置できない理由がある。
●FRBは金利上昇には「介入」の用意!
その根拠は? まず、バイデン政権は基本的に国内産業(雇用)を守るために、ドル安を求めている。現在のようなドル高・円安は困る。次に、国債増発を計画しているバイデン政権にとって、金利上昇は負担増につながる。もちろん、長期金利が2%近くになった場合には内外の機関投資家がドル債を購入(金利抑制)する。
FRBはツイストオペレーション(長期債買いの短期債売り)を断行するだろう。いずれにせよ、金利上昇を恐れる必要はない。常に、波乱はチャンスの信念を持って行動するべきだ。そう、肝要なのは昨年2~3月と同様に、リスクを取る勇気である。
狙い目は22年3月業績が上方修正(マーケットコンセンサス)されているデンソー <6902> 、パナソニック <6752> 、アイシン精機 <7259> 、日本郵船 <9101> 、村田製作所 <6981> 、日本通運 <9062> などはどうか。
小物では大出直りのファーマフーズ <2929> 、半導体関連の浜井産業 <6131> [東証2]、太陽光発電事業のAbalance <3856> [東証2]、リサイクルのフルヤ金属 <7826> [JQ]、EC(電子商取引)支援のいつも <7694> [東証M]などに注目できる。
2021年3月19日 記
株探ニュース