明日の株式相場に向けて=AI・量子周辺株に反撃の芽

市況
2021年3月24日 16時59分

きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均が590円安の2万8405円と大幅安で4日続落。あっという間に4日間で1800円以上も切り下げた。上下に激しい地合いが続くが、3万円台に再上陸を果たしたと思った矢先、また仕切り直しとなった。沖に流されるのも早いが、引き潮に遭遇しているわけではない。必要以上に弱気にならないことが肝要だ。

半導体需給の逼迫が多方面に影響を与えているが、前日に米インテル<INTC>がアリゾナ州に200億ドルを投じて半導体新工場を建設することを発表、これが半導体関連セクターへの大口の資金シフトを誘発した。しかし、買われたのは半導体製造装置の大手メーカーに限られた。相場を支配したのは、欧州での新型コロナウイルスの感染再拡大で経済活動の規制が再び強化されたというネガティブなニュースの方だ。東証1部の値下がり銘柄数は2000を超え文字通りの全面安。小型株の下げもきつくマザーズ指数は3%超の下げとなった。

前日に中低位のバリュー株の風向きが相対的に良くなっているとしたが、目先は上値を買い進む主体が想定しにくい地合いでもあり、押し目買いに徹するところ。目指す方向としては間違っていないと思われる。日銀のETF購入では先の金融政策決定会合で、日経平均連動型の排除を決めたことがNT倍率の低下をもたらしているものの、問題はそのプロセスだ。これが日経平均寄与度の高い銘柄を売る一方でTOPIX連動型の銘柄を買うという、これまでのアンワインドということであればある意味健全であり、投資家もその流れに沿った戦略を考えればよいが、残念ながらそうではなくなっている。両指数とも下落するなかで、日経平均の方がより下げが厳しいという状況を反映した形でのNT倍率修正である。日銀のETF購入手法の変更が材料として忠実に機能するのであれば、メガバンクなど大手金融に資金シフトが起きるのが道理だが、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>などのメガバンクや第一生命ホールディングス<8750>など生保株も、目先はマドを開けて売られるような“投げ”の状態だ。

また、ハイテク系を中心としたグロース株か景気敏感セクターを中心としたバリュー株かの論議も現在は一緒くたに売り込まれる展開で、これまでとはちょっと事情が異なっている。つまりグロース買いのバリュー売り、あるいはグロース売りのバリュー買いというのは、基本的に強調相場における循環物色の流れが前提となっていて、結局は「底上げの順番待ち」というイメージがあった。しかし、今は急勾配の下り坂でそのコンセプトは立ち消えとなっている。目先半導体が買い戻されたとはいっても、インテル効果による仮初めの物色人気で、緊急避難的に資金が流れ込んだ感も強い。ここから継続的に買いが流入するかどうかは未知数であり、慎重に構えざるを得ない。

とはいえ、現在の相場はAI暴走によって上にも下にもオーバーシュートする傾向が強い。上昇時も下落時も相応の解釈が後ろからついてくる相場だが、仮説の域を出ず本質を外したケースもあり、鵜呑みにしても戸惑うだけだ。流動性が担保されている今の地合いであれば振り子が戻ってくるのに理由はいらない。実質月内最終日にあたる来週月曜日(29日)前後を境に、リバウンドを取りに行くターンとなる可能性が高い。したがって、凧糸を出し切らないように(手持ち資金を枯渇させないように)配慮しながらも、足もと波乱含みの相場は、意中の銘柄の押し目を買い下がる好機とみて強気に対処するのが有効と思われる。

最近のマーケットは期末を前にボリュームに厚みが加わっているが、相場観のぶつかり合いによって体感温度が上がるような熱気がない。売りも買いも一方通行で、AIアルゴに蹂躙されているようなところがある。これにかこつけるわけではないが、個別株でもテーマ買いの動きから大分遠ざかっていたAIやDX周辺株に動意の気配がある。AI関連の象徴株であるブレインパッド<3655>や量子コンピューター分野で実績を重ねるHPCシステムズ<6597>などが波乱相場のなかも頑強な値動きをみせている。この2銘柄のほかではフィックスターズ<3687>、ユーザーローカル<3984>が強さを発揮。更に、TDCソフト<4687>、アクモス<6888>、キーウェアソリューションズ<3799>の押し目にも着目。

あすのスケジュールでは、2月の外食売上高が後場取引時間中に発表される。また、東証マザーズ市場にベビーカレンダー<7363>、ジーネクスト<4179>の2社が新規上場。海外ではオンライン形式でEU首脳会議が行われる(~26日)。このEU首脳会議にはバイデン米大統領も参加する。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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