働き方改革×ウィズコロナで加速! 「フリーランス」関連株に熱視線 <株探トップ特集>

特集
2021年3月25日 19時30分

―政府による労働環境整備も追い風、マッチングサービスや金融支援ビジネスにもメリット―

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、インターネットを通じて単発の仕事を請け負うギグワーカーや、案件単位で仕事を請け負うフリーランス(以下まとめて「フリーランス」)が増加している。コロナ禍により打撃を受けた外食や宿泊業界から人材が流出し、ウーバーイーツなど料理の配達やeコマースの利用拡大で多くの人材が必要となった物流倉庫などがその受け皿となったが、そうした人のなかには、フリーランスとして働く人が多い。また、コロナ禍でテレワークが広がり通勤時間がなくなったことをきっかけに、デザインやプログラミングなど新たなビジネスにつながるスキル獲得を目指す人も増えている。フリーランスの増加でメリットを受ける企業も多く、その動向には要注目だ。

●コロナ禍でフリーランス増が加速

正規雇用・終身雇用が標準的な働き方だった日本でも近年、働き方の多様化が進んでおり、それに伴いフリーランスは増加している。内閣官房が2020年2-3月に実施した調査によると、自身で事業などを営んでいる、従業員を雇用していない、実店舗を持たない、農林漁業従事者ではない人を定義として、フリーランス人口は全国で462万人いると試算。また、日本最大級のフリーランスプラットフォーム「ランサーズ」を運営するランサーズ <4484> [東証M]の20年の推計では副業などを含む広義のフリーランスは国内で1034万人いるとされ、15年比で13%増加したという。

現在のところはフリーランスの定義が定まっていないため、調査主体によってその数には開きがあり、その実態はつかみにくいのが現状だ。ただ、ここ近年で増加しているとの見方は一致している。足もとのコロナ禍における雇用悪化で、その増加の傾向が更に強まっているとみていいだろう。

●政府がガイドラインを策定へ

フリーランス人口が増加していることを受けて、政府もその労働環境の整備に乗り出している。

フリーランスは専門性を高める、労働時間を柔軟にできるようになるなどのメリットがある一方、報酬水準が低く抑えられることがあることや、正社員と比べて休業手当など社会保障が手薄なことがデメリットとされている。また、仮に取引相手の会社と契約トラブルが発生した際にも、不利な状況に陥りやすいといったことも課題とされる。

こうした労働環境を是正するため、政府はガイドラインの取りまとめを進めており、20年12月に公表された案では、フリーランスを自営業者と位置づけ、発注者側が与えた取引上の不利益を独禁法で規制すると明記。報酬の支払い遅延など「優越的地位の濫用」となり得る12の行為類型を列挙し、不平等な取引条件などを防ぐ方針だ。

●フリーランスを支援する企業に商機

政府が指針を設けることでフリーランスの人々が働きやすくなれば、それを支援する企業のビジネスチャンスも広がる。関連する銘柄には要注目だ。

その代表格は、フリーランス人材のマッチングサービス大手であるランサーズとクラウドワークス <3900> [東証M]だろう。

ランサーズが2月10日に発表した第3四半期累計(20年4-12月)連結決算では、営業損失が前年同期の1億7000万円から1400万円に大幅に減少。一方、クラウドワークスが2月12日に発表した第1四半期(20年10-12月)連結決算では営業損益が1億700万円の黒字と前年同期の2100万円の赤字から同じく大きく改善した。両社ともにコロナ禍でもクライアント社数を増やしており、流通総額や総契約額などの拡大が牽引し、通期では黒字転換を見込む。また、利用者の法律相談への対応や税務処理の支援などのサービスを手掛けている点にも注目だ。

●ギークスはIT人材のマッチングが主力

ギグワークス <2375> [東証2]とギークス <7060> も同様にフリーランス人材のマッチングサービス大手で、ギグワーカーのマッチングに強みがある。特にギグワークスは、コロナ禍でギグワーカーが増加していることを受けて、20年10月からギグワーカーとクライアント企業の間で、仕事の受発注を直接成立可能とする新プラットフォームサービス「GIGWorks Basic」の提供を開始。また、第1四半期(20年11月-21年1月)連結決算は、営業利益4億9500万円(前年同期比4.1倍)と好調な滑り出しだった点が注目される。

またギークスは、IT人材のマッチングが主力で、福利厚生プログラムや人材育成などにより、ITフリーランスとの効果的な接点を長期的に有している点が強み。第3四半期累計(20年4-12月)連結決算は、新型コロナウイルス感染症の影響が残り、営業利益は3億8800万円(前年同期比28.8%減)と減益だったが、今期は第4四半期偏重型の計画であり、通期計画(営業利益7億円)に対しては順調に推移しているという。

●プロ人材をマッチングするみらいWKSとスキルを売買するココナラ

みらいワークス <6563> [東証M]とビザスク <4490> [東証M]はともにプロフェッショナル人材のマッチングを手掛けている。

みらいWKSは主にビジネスコンサルティングとITコンサルティングの両分野が中心で、第1四半期(20年10-12月)単独決算で営業利益は2400万円と前年同期比で17.4%減のスタートとなった。ただ、減益は人員や新規事業への投資が要因で、全体として業績予想に対して計画通りに進捗しているという。また、コロナ禍で需要が強まっている地方の副業をマッチングするサービス「Skill Shift」を展開している点も注目される。

一方のビザスクは、日本最大級のスポットコンサルティングのプラットフォーム「ビザスク」を展開。第3四半期累計(20年3-11月)連結決算では、コロナ禍の影響で取扱高が増加しており、営業利益は1億3100万円(前年同期比2.1倍)と高成長した。また、最近では社外役員・監査役マッチングサービス「ビザスクboard」を開始するなど、時代に沿った人材活用を進めている点に注目だ。

このほか、ココナラ <4176> [東証M]は知識やスキル、経験などを商品化し、ECのように売買できるマッチングプラットフォーム「ココナラ」を運営している。個人が主に利用する相談系カテゴリと法人が主に利用する制作・ビジネス系カテゴリを展開しているが、近年は制作・ビジネス系カテゴリが急拡大し業績を牽引している。21年8月期単独業績予想で営業利益は7400万円(前期8000万円の赤字)を見込むが、第1四半期(20年9-11月)では同6900万円を計上している。

●フリーランスを支援するGMOペパボ

更に、フリーランスを支援するビジネスを展開する銘柄にも注目したい。

TAC <4319> は、「資格の学校」を標榜し、会計や法律、公務員・教員、経営・労務、不動産・建築・設備、金融、情報処理・パソコンなどの分野で資格取得のための学校を運営している。新型コロナウイルス感染拡大により、第1四半期(20年4-6月)には大きな影響を受けたものの、第3四半期累計(20年4-12月)連結決算では営業利益5億4100万円(前年同期比3.6%増)と増益を確保しており、21年3月期通期では同6億9000万円(前期比4.3倍)を見込む。

GMOペパボ <3633> は、ホスティングなどのインターネットサービスが主力だが、19年2月に連結子会社化したGMOクリエイターズネットワークが、日本初のフリーランスに特化した収納代行&即日払いサービス「FREENANCE byGMO」を提供している点が注目される。21年12月期は営業利益11億1400万円(前期比20.2%増)と3期連続最高益更新を見込むなど、好業績見通しだ。

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