明日の株式相場に向けて=4月の海外マネー鉄板アノマリー

市況
2021年4月6日 17時00分

きょう(6日)の東京株式市場は、日経平均株価が392円安の2万9696円と4日ぶりに大幅反落。一時は400円を超える下げをみせたが、引け際にやや下げ渋った。とはいえ、東証1部全体の87%の銘柄が下落する売り圧力の強い地合いであったといえる。4月新年度入りから全体相場はロケットスタートを決めたが、前日のザラ場中に3万195円の高値をつけ、3月末の終値と比較して3営業日で1000円強の上昇となったところが目先のターニングポイントとなった。

きょうは前日のNYダウ最高値に追随する格好で朝方こそリスクオンムードだったが、寄り後早々に違和感が拭えなかったのは、東京エレクトロン<8035>が売り優勢で始まったことだ。前日の米国株市場ではNYダウと歩調を合わせフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が最高値を更新したにも関わらず、である。ただ、空売り筋の買い戻しという要因を除けば、純粋にここから上値を買い進むことに躊躇しない投資家はそう多くはないかもしれない。この流れは他の半導体関連主力株にも広がり、気勢が削がれる形となった。半導体関連は前日紹介したような中小型で値がさ株の範疇から外れるものが相対的に強さを発揮しやすいが、これらが全体相場の流れを変えるようなインパクトはない。

もう一つは、金融株の下げだ。米投資会社アルケゴス・キャピタルの取引を巡る損失懸念がくすぶる。流れ玉に当たった形の野村ホールディングス<8604>は3月下旬に急落に見舞われたものの、既に売り玉が切れて買い戻しのタームに移行しているようにも見えるが、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>などメガバンクは、依然として疑心暗鬼の投資家心理を暗示するような値運びだ。きょうは後場寄りに、日銀のETF買いが見送りとの観測を受け、メガバンクや生保株がドスンと水準を切り下げ、全体相場の地合いを悪化させた。市場では「海外のロングオンリーのファンドが銀行と自動車株に売りを出している」(中堅証券ストラテジスト)という指摘が出ていた。マーケット関係者からアルケゴス絡みの話は特に出ていない。が、株価が弱ければ後から仮説や推測が大手を振ってついてくるのが相場で、それが事実とは必ずしも合致しなくても思惑で振り回されることがある。

4月は日経平均が月末比較で前月比プラスとなることが多い月として知られる。海外投資家が判で押したように日本株に買いを入れてくることと相関関係が強い。過去10年を振り返って、4月の日経平均は7勝3敗と勝率7割だが、海外投資家のパフォーマンスはそれ以上で、昨年のコロナ禍でこそ売り越したが、それを含めて9勝1敗である。更に、もっと驚くべきことにこの“日本株買い越し”は2001年から続いていて、直近20年で19勝1敗。外国人の「バイ・イン・エイプリル」はもはや伝説的なアノマリーとなっている。

普通に考えれば、今月は日本株を売り越す理由も見当たらない。ワクチン接種率が先進国の中で際立って少ないということが、海外投資家の日本買い意欲の減退につながっているという意見もあるが、欧米と比べて新型コロナへの感染者数の少なさを考えれば、果たしてその見方が妥当かどうかは微妙だ。2月決算企業の決算発表が今後本格化するなか、業績相場への期待が裏切られることへの恐怖感が重荷となっているという見方もあるが、これについても、超金融相場のさなかにあってそれを言うのはどうかという部分もある。

きょうは、しまむら<8227>が21年2月期の決算を発表、営業利益は前の期比66%増益という高い伸びを示したが、22年3月期の増益率が鈍化するということで大きく売り込まれた。発射台が高まれば、次期業績の伸び率が鈍化するのは当然だが、逆に前期の業績が悪かった企業は今期の伸び率が高まる理屈で、こうした企業が買われる展開になれば、ある意味相場は健全ということになる。今後の決算発表動向を注意深く見守るところだ。

個別では設備投資関連で黒田精工<7726>。半導体関連でエノモト<6928>、AKIBAホールディングス<6840>など。自動車部品株ではフタバ産業<7241>などに注目。

あすのスケジュールでは、2月の景気動向指数速報値が後場取引時間中に発表される。また、東証2部市場に表示灯<7368>、ジャスダック市場にファブリカコミュニケーションズ<4193>が新規上場する。海外では、2月の米貿易収支、2月の米消費者信用残高、FOMCの議事要旨(3月16~17日開催分)など。また、インド中銀とポーランド中銀の金融政策決定会合も予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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