為替週間見通し:米景気回復期待でドルは底堅い値動きか
【今週の概況】
■米早期利上げ観測後退でドル弱含み
今週のドル・円は弱含み。米国の政策金利は2023年末まで現行水準を維持するとの見方が再び広がり、量的緩和策の早期縮小の思惑も後退したことから、ドル買い・円売りは縮小し、4月8日に一時109円00銭までドル安・円高に振れる場面があった。ただ、新型コロナウイルスのワクチン接種は拡大していることから、米国経済の早期正常化への期待は持続しており、リスク回避的なドル売り・円買いは8日までに一巡した。
9日のニューヨーク市場でドル・円は一時109円96銭まで買われた。この日発表された米国の3月生産者物価指数(PPI)は予想以上に上昇したため、インフレ進行の思惑が浮上し、米長期金利は反発したことから、ドル買い・円売りが優勢となった。米国株式の堅調推移を意識したドル買いも観測されており、ドル・円は109円65銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:109円00銭-110円75銭。
【来週の見通し】
■米景気回復期待でドルは底堅い値動きか
来週のドル・円は底堅い値動きか。堅調な米経済指標を意識して投資家のドル選好がただちに弱まることはなさそうだ。4月7日に公表されたFOMC議事要旨(3月16-17日開催分)によると、足元は改善の方向だが、「新型コロナウイルスの打撃で経済の先行きは依然として極めて不確実」との見解で一致していたことがわかった。この内容を受けて早期利上げ観測は大幅に後退したが、米国が世界経済をけん引する状況に変わりはないとみられる。国際通貨基金(IMF)が4月6日公表した世界経済見通しでは、米国経済の強い回復が寄与するとの見方が示されている。
来週発表のインフレや個人消費に関する経済指標は、IMFの経済見通しを反映した内容になると期待されている。3月消費者物価コア指数(コアCPI)と3月小売売上高は、いずれも前回実績を上回り、今月29日発表予定の1-3月期国内総生産(GDP)の伸びに寄与すると予想される。FOMC議事要旨では、足元の金利高について「経済見通しの改善を反映したもの」とのスタンスを維持しており、長期金利は下げづらいだろう。経済指標が堅調ならアジア、欧米諸国の株高要因となり、リスク選好的な円売りが強まる可能性がある。
【米・3月消費者物価コア指数(CPI)】(13日発表)
13日発表の米3月消費者物価コア指数(CPI)は、前年比+1.6%と、2月実績の+1.3%を上回る見通し。市場予想と一致した場合、米長期金利は下げ渋り、ドルは底堅い動きを保つ可能性がある。
【米・3月小売売上高】(15日発表予定)
15日発表の3月小売売上高は前月比+5.0%と、2月の同-3.0%からの反動により大幅改善が見込まれる。1-3月期国内総生産(GDP)への寄与に期待が高まれば株高に振れ、金利高につながった場合はドル買いを誘発しよう。
予想レンジ:108円50銭-111円00銭
《FA》