新興市場見通し:需給は着実に改善か、新興IT株に物色向かう環境に

市況
2021年4月10日 14時43分

今週の新興市場では、日経平均と同様にマザーズ指数、日経ジャスダック平均も週間ベースでおおむね横ばいとなった。ただ、マザーズ指数は週前半に日経平均の下落とともに売りに押されたものの、その後底堅さを見せ、週末の4月9日には日経平均が3万円近辺で伸び悩むなか終日堅調な展開となった。週半ば以降、マザーズの1日の売買代金は1400億円あまりとやや低調だが、徐々に売りが出にくくなって需給改善してきた印象を受ける。なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.3%であったのに対して、マザーズ指数は+0.4%、日経ジャスダック平均は+0.2%だった。

個別では、ウェルスナビ<7342>が週間で25.3%高とマザーズ上昇率トップ。時価総額でも6位に浮上した。その他時価総額上位ではJMDC<4483>が同5.7%高、BASE<4477>が同10.2%高と堅調。「まん延防止等重点措置」の適用拡大を受け、週末にかけてBASEなどのEC(電子商取引)関連銘柄が買われていた。また、売買代金上位では直近上場のスパイダープラス<4192>やココナラ<4176>、昨年12月上場のKaizen Platform<4170>が大きく上昇した。一方、メルカリ<4385>は同0.4%安と伸び悩み。売買代金上位では直近上場のAppier Group<4180>が週前半に売りに押され、AppBank<6177>などが下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力では、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同4.0%高、東映アニメーション<4816>が同6.9%高、セリア<2782>が同9.6%高と堅調。また、ソノコム<7902>などが上昇率上位に、日邦産業<9913>などが下落率上位にそれぞれ顔を出した。IPOでは5社が新規上場し、このうちオキサイド<6521>が公開価格の約2.3倍という高い初値を付けた。その他は前の週までと同様にやや伸び悩んだ印象こそあるものの、過度に警戒ムードが高まることもなく、公開価格を上回るしっかりした初値形成となった。

来週の新興市場では、改めてマザーズ指数の一段の上昇、それに3月高値(1256.51pt、取引時間中)上抜けに期待したい。前述のとおり徐々に売りが減って底堅さを増しつつあるなか、企業決算の発表を前にした日経平均の伸び悩み、「まん延防止」適用拡大によるIT・インターネットサービスの見直し、米ハイテク株の堅調推移などと、新興IT株に物色が向かう環境になってきたと言える。ある程度売買が膨らんでくれば戻り待ちの売りもこなせそうだ。

注目されたオキサイドの上場を通過し、一時売られていたココナラやAppierがしっかりした値動きを見せ始めている。また、証券各社の調査開始をきっかけに見直し機運が出てきたAI inside<4488>やChatwork<4448>にも注目したい。なお、来週は4月12日にエヌ・ピー・シー<6255>、13日にマネーフォワード<3994>、SERIOHD<6567>、14日にウエストHD<1407>、ティーケーピー<3479>、UUUM<3990>、WACUL<4173>、グッドパッチ<7351>、バリュエンスHD<9270>などが決算発表を予定している。

IPO関連では、4月13日に紀文食品<2933>が東証1部へ、15日にサイバートラスト<4498>がマザーズへそれぞれ新規上場する。紀文食品は練りものメーカーとして高い知名度を誇り、公開規模も東証1部上場案件としては比較的小型。電子証明サービスなどのサイバートラストは個人投資家の物色人気に乗り、逆風下ながら初値を伸ばしてきそうだ。

《FA》

提供:フィスコ

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