来週の相場で注目すべき3つのポイント:日米企業決算、米大統領議会演説、米雇用統計など
■株式相場見通し
予想レンジ:上限29500-下限28500円
今来週(4月26日-5月7日)の日経平均は一進一退か。いよいよ決算発表が本格化することで、決算を受けた個別物色が中心となり、指数は方向感に欠ける動きとなりそうだ。今週は皮切り役となる日本電産<6594>やディスコ<6146>などの注目決算があった。日本電産は、前期実績こそ会社計画を上振れる着地となったものの、今期計画が市場予想値に届かなったこともあり、週末に大きく売り込まれた。信用買い残が高水準に積み上がっていたことからも決算ハードルが相当に上がっていたことが窺え、少しでも物足りない点があれば売られてしまいやすい条件が揃っていたようだ。
ディスコも前期は上振れたものの、今期第1四半期(4-6月)の見通しが市場予想を下回ったことが嫌気され、売り優勢となった。ただ、1-3月期の受注高が726億円と過去最高の490億円を大きく上回る想定以上の水準であったことを考慮すると、これが素直に好感されなかった点はやや気掛かり。「受注高の伸びが強すぎるが故にピークアウトが意識された」との指摘もあったが、好材料を素直に捉えられないあたりが今の市場のムードを表しているといえよう。
来週は決算のほかイベントが盛り沢山だ。まず、週初から半ばにかけて日銀の金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)がある。前回の金融政策会合では上場投資信託(ETF)の買い入れ方針に変更があり、市場に影響を及ぼした。今週20日には、前場の東証株価指数(TOPIX)の下落率が1.25%だったにもかかわらず、ETF買いが実施されなかったことで政策不透明感が高まった経緯もある。今回の会合で何らかの追加発言があるか注目だ。FOMCではこれまで同様に緩和政策持続の従来方針が繰り返されそうだ。市場ではテーパリング(量的緩和縮小)議論が6月頃から始まるとの声も聞かれているが、さすがに今回の会合ではないだろう。大勢は決算発表が本格化するなか、日米ともに金融政策イベントは大きな影響力を持ちにくいと思われる。
一方、28日のバイデン米大統領の議会演説については、富裕層の株式譲渡益課税を従来の約2倍に引き上げる考えについての具体的な発言が注目される。成立するには民主党のほか共和党内の一部からの賛同も必要で可能性は低いが、相場が軟調になってきている時期であるため神経質に反応しやすい。最近は月末に相場が崩れやすい傾向もあり、買い手はこうした地合いも考慮した方がよいだろう。
そのほか、東京市場はゴールデンウイーク(GW)で翌水曜日(5月5日)までが休場となる。連休中の海外市場の動向など空白リスクを警戒して積極的な売買は手控えられるほか、信用買いを手仕舞う動きにも注意したい。連休明けの5月6、7日は休みの間の海外市場の動向を吸収する動きとなることが予想され、米国でのサプライマネジメント協会(ISM)製造業・非製造業景況指数や中国製造業購買担当者景気指数(PMI)などの結果が注目材料だ。また、今後のテーパリング議論の試金石となる週末の米雇用統計を意識した動きも出てくる可能性があろう。
■為替市場見通し
来週以降の(4月26日-5月7日)のドル・円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)は4月27-28日に連邦公開市場委員会(FOMC)の会合を開催し、現行の金融政策維持を決定する見通し。金融緩和策の長期化への思惑は消えていないことから、ドルの反発を抑える要因となる。また、28日に予定されるバイデン米大統領の施政方針演説で、富裕層のキャピタルゲイン課税など増税計画について話すと見られており、ドル買いを抑制する材料として注目される。
ただ、米国における新型コロナウイルス向けのワクチン接種は急速に拡大しており、米国景気の早期回復への期待は残されている。米バイデン政権はワクチン接種を加速させ、就任100日を前に2億回に達しており、長期金利の低下やドル売りを抑える要因となろう。こうした事情から、リスク回避的なドル売りはやや縮小する可能性がある。
■来週の注目スケジュール
4月26日(月):日銀金融政策決定会合(27日まで)、米・耐久財受注(3月)など
4月27日(火):テスホールディングスが東証1部に新規上場、決算発表:アドテスト、イビデン、ファナック、米・連邦公開市場委員会(FOMC)(28日まで)、米・決算発表:アルファベット、マイクロソフトなど
4月28日(水):日・小売売上高(3月)、決算発表:ソニー、デンソー、米・バイデン大統領が上下両院合同会議で演説、米・決算発表:クアルコム、フェイスブックなど
4月29日(木):日・株式市場は祝日のため休場(昭和の日)、米・GDP速報値(1-3月)、米・決算発表:アマゾンなど
4月30日(金):日・失業率(3月)、日・鉱工業生産指数(3月)、日・製造業PMI(4月)、日・消費者態度指数(4月)、決算発表:レーザーテック、中・製造業PMI(4月)、米・個人所得/個人消費支出(3月)、米・ミシガン大学消費者マインド指数(4月)など
5月3日(月):日・株式市場は祝日のため休場(憲法記念日)、米・ISM製造業景況指数(4月)、米・建設支出(3月)
5月4日(火):日・株式市場は祝日のため休場(みどりの日)、米・製造業受注(3月)、中・財新製造業PMI(4月)
5月5日(水):日・株式市場は祝日のため休場(こどもの日)、欧・ユーロ圏総合PMI(4月)、米・ADP全米雇用報告(4月)、米・ISM非製造業景況指数(4月)
5月6日(木):日・サービス業PMI(4月)、決算発表:任天堂、中・財新サービス業PMI(4月)、米・決算発表:フォルクスワーゲン、モデルナ
5月7日(金):日・実質賃金総額(3月)、決算発表:オリンパス、日本製鉄、米・雇用統計(4月)
《YN》