【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 銘柄選別のキーワードは「企業価値の最大化」!
「銘柄選別のキーワードは「企業価値の最大化」!」
●最大の懸念は米キャピタルゲイン課税引き上げだが…
まさに東京市場、波高しだ。日々あれこれと重要ニュースがあって、どれが株価にプラスに働くのか分かりにくい。そこで、私は日々各種のニュースをポジティブ材料とネガティブ材料に分けて書き出すことにしている。直近のそれはどうなっているかといえば、
【◇ポジティブ材料】
(1)バイデン米大統領が主催する気候変動に関する首脳会合(気候変動サミット)が、米東部時間22日午前(日本時間同日夜)からオンラインで開かれ、30年までに温暖化ガスを米国は2005年比半減、日本は13年比46%減を公約した。
(2)22日に発表された米失業保険申請者数は予想外に減少し、前週比3万9000件減の54万7000件となった。
【◆ネガティブ材料】
(1)バイデン米大統領は富裕層に対するキャピタルゲイン課税を39.6%と、現行のほぼ2倍に引き上げる方針との見方が急浮上している。
(2)東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に緊急事態宣言が発令される事態となっている。期間は25日から5月11日まで。
(3)日米首脳会談の共同声明で“台湾問題”に触れたことで中国が激怒、今後、日本企業に対する報復が懸念されている。
(4)上昇を続けていた米長期債利回りが下降に転じ、為替がドル安・円高となったことで輸出関連株の足を引っ張る形に。
こんなふうに整理してみると、喫緊の懸念はバイデン政権による富裕層へのキャピタルゲイン課税引き上げとなる。他も問題ではあるものの、すでにかなり株価に織り込まれているため、今後の影響は小さいと見てよいからだ。
キャピタルゲイン課税の引き上げについては、素案ではおよそ40%にするとされており、当然ながら今後猛烈な反対があるだろう。ただ、たとえ実現したとしても先のことであり、目先はさほどの重荷にならないと見てよい。富裕層への課税強化は選挙公約の中に入っていたことであり、多くの投資家を含む国民もそれを容認したと見てよいからだ。
●悪材を押し退ける実力企業に注目
では、以上のような好悪材料を踏まえたなかでの投資は、どうしたらよいか。私の選択はコロナ禍や中国報復懸念を押し退けて企業価値の最大化を目指し、実績も上げ続けている企業になる。
そんな会社があるのか。もちろんあります。
具体的に紹介しよう。まずは富士フイルムホールディングス <4901> だ。えっ、また? 前回の注目銘柄にも入っていたじゃないか。こういうことになるだろう。でも、あえてまただ。新たな材料があるからだ。前回は古森会長兼CEOの退任と後藤取締役の社長就任を発表し、中興の祖とも言うべき古森氏が経営を離れることで株価は下げてしまう恐れがあったが、そうはならなかった。
これは株価の支援材料になると書いたが、今回はこの会社が4月15日に発表した中期経営計画を評価したい。2023年度に営業利益で過去最高となる2600億円を目指す。そのためにヘルスケアと高機能素材の成長を加速させると明確に目標を掲げている。これは、この会社が企業価値の最大化を目指すと宣言しているようなもの。株価は今後着実高が見込めることになる。
企業価値の最大化を意識した経営をしている会社はもちろん他にもある。ミダック <6564> もそうだ。この会社の加藤恵子社長は税理士でもあり、企業価値の最大化経営=コーポレート・ファイナンスに通じていると見てよく(あくまでも私の推測)、着実に実績を上げ続けている。当然、株も期待が持てる。
電子ドラムやピアノなど、高級電子楽器でブランド力が高いローランド <7944> も、20年に再上場(14年に非公開化)、企業価値の最大化を目指す経営に変身していることを考えると、株は続伸する確率が高いと見てよい。
いまはまだ知名度は低いが、不動産仲介と取引データを分析したAIアルゴリズム機能の提供に強いSREホールディングス <2980> も、株価調整中の現在の水準は見逃せない。この会社はソニーグループ <6758> の関連会社である点も魅力的だ。
企業価値の最大化関連株から目を他に転じると、キャンプなど アウトドア製品に強いスノーピーク <7816> がある。3密を避けられるアウトドアは今後も楽しむ人が多いと見てよく、株も期待が持てる。
最近明るい話がほとんどないが、異例ともいえるのがゴルファー松山選手のマスターズでの優勝。刺激を受けた ゴルフファンも多いはずで、ゴルフダイジェスト・オンライン <3319> の利用は確実増が見込めるだけに、株も連動高必至だ。
2021年4月23日 記
株探ニュース