富田隆弥の【CHART CLUB】 「流れに従う5月相場」
◆日経平均株価は28日現在2万9053円と、割り込んだ75日移動平均線(2万9228円)と25日移動平均線(2万9402円)のまだ下にある。21日の安値2万8419円から戻してはいるが、チャートは依然としてアヤ戻し(プルバック)の領域にあり、三角保ち合いからの下放れ懸念は払拭できない。
◆ここからの展開として、3万円を回復して4月6日につけた高値3万208円を抜くなら「好転、上昇基調を回復」となり3万1000円指向が想定されるが、それを確認するまで「下放れ懸念」は続く。もし、21日の安値2万8419円を割り込むなら「陰転が確定」し、下に控える200日移動平均線(2万6100円台)指向も否めなくなる。当面はこのどちらの展開になるのか見極めが必要だろう。
◆3月期企業の決算発表が始まった。前21年3月期を上方修正、あるいは上振れて着地する企業、そして今22年3月期の増収増益見通しを開示する企業が目につく。特に中国や米国の景気回復を背景に、半導体や電子材料などハイテク関連企業の好調が目立っており、米国ではその動きがより鮮明となっている。
◆ならば、業績好調を背景に上昇相場を想定したいところだが、主力株の中には好業績見通しであっても下げてしまうものがある。見通しが市場予想に届かなかった、あるいは織り込み済みとして売られている。また、上げても1日天下で終わってしまうものもある。これだから相場は難しい。
◆緊急事態宣言の発令や進まぬワクチン接種、中国との摩擦懸念など、日本独自の事情があるにせよ、材料はあとからついてくるもの。そして、相場は流れに従うものだ。上述の如く日経平均のここからの動向を一つのポイントとしておきたい。
(4月29日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
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