好決算でも下落局面に立ち向かう! 「下げリスク縮小待ち」作戦とは
~すご腕投資家・DUKE。さんに聞く「決算でお宝株を見つける技」~最終回
登場する銘柄
ローランド<7944>、Fast Fitness Japan<7092>、プレミアアンチエイジング<4934>、Jストリーム<4308>、ブイキューブ<3681>、MTG<7806>、神戸物産<3038>、コメ兵ホールディングス<2780>、アドベンチャー<6030> |
2003年の会社員時代から株式投資を開始。当時は割安成長株狙いだったが目覚ましい成果は出ず。その後ライブドア&リーマン・ショックを経て、本人いわく「けちょん、けちょん」になる場面も乗り越え、成長株投資で著名なウィリアム・オニールの投資法に出合う。これまでのファンダメンタルズ追求型にテクニカル要素も加えたテクノファンダメンタルに手法を改良し、新高値を更新した上昇トレンド銘柄に乗る「新高値ブレイク投資術」にたどり着く。その改良法が花開き、14年には累計利益1億円達成。16年には年間利益1億円、資産3億円を突破し専業投資家へ。現在は自身の投資をさらにパワーアップさせながら「新高値ブレイク投資塾」を主宰。塾生から多くの億り人を輩出すべく、自身の投資法伝授に力を注ぐ。著書に『新高値ブレイク投資術』(東洋経済新報社)、『新高値ブレイクの成長株投資法』(共著、パンローリング)がある。
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「好決算&上方修正銘柄に乗ったつもりなのに、いきなり大量売りの嵐! こんなはずでは……」。
3月期決算が出揃い出した5月半ばの日経平均株価は、3日連続で大きく下落。そのあおりか、せっかくのポジティブサプライズがあっても、発表翌日から容赦なくたたき売られる銘柄もいくつか登場した。
冒頭のように、納得がいかない悔しい思いをした投資家も決して少なくはなさそうだ。
今回登場中のすご腕・DUKE。さん(ハンドルネーム)によると、こうした売り浴びせを極力逃れるために、下落リスクを抑えて大きな伸びを期待できる買いポイントを探ることが大事なのだという。
決算後のお宝探し特集の最終回では、株価チャートから買いポイントを探る方法を聞いた。
警戒モードの中でもチャンスを探る
―― 3月期決算が出揃いました。ただ、発表途上には米国の量的緩和の早期収束懸念もあって、好決算を出しても株価が伸びない企業も見られました。こうした状況下では、何を心掛ければいいのでしょう?
DUKE。さん(以下、DUKE。): 相場全体としては、「警戒モード」で臨むべき時期にあると思います。基本的には、ポジションを抑え気味にして、文字通り株価の動きに警戒しながら向かうのです。
ただし、そうしたモードだからと言って、何も買ってはいけないというわけではありません。好決算が出て、チャートの形を確認し、「チャンスが来た」と思う銘柄があれば、購入単元を少なめにして打診買いから入っていきます。
いわゆる2020年のコロナ相場においては、株価は2月半ばから3月にかけて相場が大きく下落した後、「一番底」「二番底」などと呼ばれるような大きな調整がないまま、ほぼ一本調子でV字回復してきました。
そうした意味では、足元の相場は上昇局面の終盤、という認識は持っておく必要はあると思います。
また、信用取引の買い残高が高水準で積み上がっていることから、「株価が上がったタイミングで売りたい」と待ち構えている投資家が多くいることが想定できます。
そのため、プラス材料が出ても絶好の売り場となり、まとまった売りを浴びせられる可能性も念頭に置いておかなければなりません。
グズグズした相場でも光る銘柄はあり
―― 5月10日の週の短期的な大幅下落で「被弾」し、意気消沈する投資家さんも少なくなさそうです。
DUKE。: メンタル的にキツイ時期はムリせずお休みしても構わないと思います。でも、大きく儲けるチャンスとなる大相場は、いつ訪れるか分からないもの。
完全に相場から離れてしまわず、好決算を出して気になる銘柄があれば、監視を続けてください。
日経平均は、5月12日に、それまで何とかキープしてきたボックス圏の下値ラインの2万8341円を割り込み、一時はそのまま下落トレンド入りするかと思えるような様相でした。
この下値ラインは今年21年2月4日の終値ですね。
しかし、株価はすぐに切り返して、5月21日の週末時点では、この下値ラインの水準まで戻ってきており、ひとまずは株価がどんどん切り下がっていく状況は回避している形です。
■日経平均株価の日足チャート(2020年12月中旬~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
また、個別銘柄を見ると、上昇トレンドの途中で踊り場的に形成していたボックス圏を抜けて新高値を取ってきている銘柄もいくつか登場し始めています。
例えば現時点では、ローランド<7944>、Fast Fitness Japan<7092>、プレミアアンチエイジング<4934>などです。こうした銘柄は、今後、全体同場をリードしていく存在となる可能性があり、注目するに値するものだと考えています。
もちろん、足元の相場は、「昨日は晴天でも、今日はどしゃぶり雨」というように様子がコロッと変わる展開が続いているので、これらが「絶対的にイケてる」ものとは断定できませんが。
■Fast Fitness Japanの日足チャート(20年12月中旬~)
コロナ禍で相場を先導したJストリームがお手本
―― 警戒モードでも「ボサッとせずに、有望銘柄の発掘作業を続ける」ことですね。
DUKE。: 昨年のコロナの大暴落でも経験していますが、現在のようなトレンドがはっきりしないグズグズした相場でも、次にやってくる大きな上昇に向けて環境を整えている準備期間となるケースも多いのです。
ですから、そうした上昇相場がイザやってきた時乗り遅れないよう、常に体制づくりを怠らずにいることが大事ですよ。
20年のコロナ相場の時は、例えば、ネット動画ライブ中継やオンデマンド放送を提供するJストリーム<4308>は、コロナ禍でいち早くコロナ前の水準を回復して高値を取った後、その後、株価は全体相場に先んじて大きく上昇していきました。こうした銘柄に乗るイメージで、この先伸びる銘柄を探していくのです。
■Jストリームの週足チャート(19年9月下旬~)
下げリスクが少ない買いポイントを待つ
―― 今後、注目に値すべき銘柄を見付ける手順を、改めておさらいすると?
DUKE。: まず、ファンダメンタルズ面で好決算銘柄を探す手順は2回目までにお話した通りです。その後、株価チャートをチェックして、動きを監視しながら買いポイントを探っていきます。
―― 2回目の記事で「決算でサプライズが出て、翌日株価が急騰しても飛び乗りはNG」と指摘していました。
DUKE。: 決算予想の上方修正を伴う好決算が出ても、その翌日の急騰で飛び乗ると、ブイキューブのほか、MTG<7806>などにも見られるように、決算翌日にいったん大きく上昇した後、大きく下落するという波に飲まれるリスクがあります。
飛び乗った人は高値を掴まされたまま、好決算を材料出尽くしと見なして絶好の売り場と考えていた機関投資家などの売りに押されるケースです。
もちろん、決算翌日の寄り付きにギャップアップ(前日の終値からチャートに窓を開けた形で大きく上昇して株価が寄り付くこと)の高値から始まり、さらに勢いづいて株価が上昇することもありますよ。
でも私にとっては、「不確実性が高い値動きを伴うリスクを負いながら大儲けを狙うよりも、資産を守ることを優先しながら優位性のあるポイントで買い出動する方法」を選択するのが、これまで実践してきて成功率が高かったやり方です。
―― 優位性のある買いポイントとは?
基本的には、株価が上昇トレンドにある銘柄をターゲットとし、株価が次のパターンにハマって上方にブレイクしたタイミングを買いポイントとして狙っていきます。
① ヨコヨコ、あるいは一定のレンジの中で動いていた状況の「ボックス圏」を抜ける
② チャートが「カップウィズハンドル」と呼ばれる形状を形成した後に上抜ける
③ ボラティリティの収縮を経て、そのもみ合い局面を上抜ける
―― が主たる3パターンです。
もちろん、特に現在のような全体や個別のボラティリティが高く、トレンドがはっきりと出ていない不安定な相場の中では、こうした買いポイントが現れても、株価が伸びずに腰折れしてしまう「ブレイク失敗」のケースも多く出現します。
それを踏まえて、初めは打診買いから、つまり少額から買いを入れていくのです。
湯気が立つお風呂に、湯加減を確認せずにドボンと飛び込むことは、通常はしませんよね。アツアツのお湯で火傷をしないように、足先から恐る恐る入っていくのと同じように、投資でも慎重に様子を見ながら買いを進めていく必要があります。
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