【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─SQ週でロール中心も、配当再投資の需給で底堅い展開か

市況
2021年6月5日 8時00分

「SQ週でロール中心も、配当再投資の需給で底堅い展開か」

●バリュー志向が強まるか見極めの局面に

今週の日経平均株価はこう着感の強い相場展開となった。ただし、コロナワクチンの接種が加速するなか、アフターコロナを意識した物色が目立っていたのが印象的な点だ。また、良好な経済指標の発表が続くなか、FRBは想定より早いタイミングで金融緩和縮小に舵を切るとの見方から、米国市場ではハイテク株などに利益確定の動きが見られた。これを受けて東京市場においても、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の調整が目立つ一方で、バリュー志向の物色へ向かう流れが顕著となった。

来週は、4日発表の米雇用統計の内容を受けて、投資家がインフレ警戒からバリュー志向を一段と強めてくるかを見極める重要な局面となる。

また、需給面では6月11日にメジャーSQが到来する。先物市場では週を通じて期先へのロールオーバー中心の商いになると考えられ、方向性は掴みづらくなる。そのため、日経平均株価は2万9000円を挟んだ保ち合いレンジでの推移が続きそうだ。一方で、3月期決算企業の配当支払いに伴う再投資の買いが機関投資家などから入り、底堅さに繋がりやすいだろう。再投資を想定した場合には、通信や銀行株などバリュー志向が意識されやすいところか。

SQ週での波乱は現状では考えづらいが、足元での限月間スプレッドの上昇基調を鑑みるに、先高感は強いと考えられる。物色については、SQ週でインデックス売買に振れやすいことを考慮して、主力どころを避けて中小型株でリバウンドを狙うスタンスとなろう。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆ファーマフーズ <2929>

ファーマギャバなど機能性食品素材を開発・販売。「ニューモ育毛剤」をきっかけに市場でも話題を集めている銘柄だ。直近では同製品について、中国およびベトナムでの販売開始を発表し、今後も海外展開に注力する方針を示している。なお、4日引け後に決算を発表。21年7月期第3四半期累計(20年8月-21年4月)は、売上高が前年同期の約3倍となる337億円に急拡大、営業損益は26億円の黒字(前年同期は2億円の赤字)と黒字転換している。営業利益はすでに通期計画(20億円の黒字)を超過しているが、会社側では通期予想を据え置いている。これが嫌気売りに繋がる可能性もあるが、押し目狙いのスタンスで注目したい。

◆ギグワークス <2375> [東証2]

オンデマンドエコノミー事業とシェアリングエコノミー事業を展開。5月にはダイワロイヤル社と、ホテルの客室をワークスペースとして同社のSmartOffice会員に提供する目的で、施設利用の提携契約を締結したと発表。これにより、同社のオフィスネットワーク拠点数は660拠点以上に拡大するなど、事業展開は順調だ。株価は3月末の1→3の株式分割以降、調整を続け、5月13日には790円まで下落。ただし、52週移動平均線を支持線に切り返しており、調整一巡からのリバウンド狙いに。なお、21年10月期は売上高が前期比21.4%増の240億円、営業利益は同19.7%増の12億円を計画(6月11日に第2四半期決算を発表予定)。

◆タケエイ <2151>

廃棄物処理・リサイクル事業が主業。5月14日付でリバーホールディングス <5690> [東証2]との共同持株会社設立(株式移転)による経営統合に関して契約書締結を公表している。共同持株会社の株式上場日は21年10月1日(予定)。統合する両社はいずれも足元の業績は好調に推移。株価は1200円から1350円辺りでの保ち合いレンジを形成しており、直近では1270円辺りに位置する25日移動平均線、75日線を支持線として煮詰まり感が台頭。

◆インフォコム <4348>

医療・企業・公共機関向けにシステム構築やパッケージ製品を提供するITサービスと、電子コミック配信サービスなどを提供するネットビジネスを展開。5月25日には、東南アジア6カ国で医師向けSNSプラットフォームサービス「Docquity(ドクイティ)」を展開する企業との業務提携を発表し話題に。21年3月期は、売上高が前の期比16.6%増の680億円、営業利益は同31.7%増の108億円で着地。続く22年3月期は、売上高が前期比13.1%増の770億円、営業利益は同1.7%増の110億円を見込む。株価は5月31日につけた2525円を安値にリバウンドを見せており、上値抵抗線として機能していた75日線を上放れている。

◆デジタル・インフォメーション・テクノロジー <3916>

製造、金融向けに強い独立系システムインテグレーター。21年6月期は売上高が前期比6.0%増の143億円、営業利益は同24.2%増の16億円を計画。戦略的に自動車関連にシフトを進めてきたエンべデッドソリューション(組み込みシステム開発、組み込みシステム検証)事業では、IoT関連や半導体関連が好調であるほか、自動車関連の需要が復調してきている。株価は4月14日につけた高値2380円をピークに調整が続いているものの、上昇する75日線を支持線に底堅い値動きを見せており、煮詰まり感が台頭。

2021年6月4日 記

株探ニュース

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