富田隆弥の【CHART CLUB】 「6月、高値圏で乱高下も」
◆4月の工作機械受注(速報)は前年同月比2.2倍、建設機械出荷額は同37.6%増と共に6カ月連続で前年実績を上回った。景気回復を鮮明にする中国と米国向けに輸出が大きく伸びており、株式市場では電機や 機械、自動車関連株が上昇している。また、日本でも高齢者を中心にワクチン接種が始まり、コロナ後の経済正常化を睨んで陸運や海運、空運の上昇も目立つ。
◆日本株には6月に上昇して高値をつけるアノマリー(経験則)がある。ボーナスシーズンを迎えて金融界は資金獲得に尽力し、また株主総会が多く開催されることから、企業も株価の上昇は賛成といったところだろう。
◆日経平均株価は6月3日に2万9058円で引け、日足チャートは75日移動平均線(3日時点2万9225円)に差し掛かった。ここは厚い節目でアヤ戻しの正念場でもあるが、25日線(2万8644円)をクリアした勢いでこの節を突破するなら「3万円大台乗せ」の期待が大きく膨らむ。
◆ただし、カギを握る米国はインフレ懸念(長期金利上昇)が高まり、株式市場は高値圏でもたついている。NYダウは6月1日に3万4849ドルのザラバ高値をつけ、5月10日のザラバ高値3万5091ドルに肩を並べた。ナスダックは2月16日高値(1万4175ポイント)と4月29日高値(1万4211ポイント)でダブルトップを描き、6月1日の戻り高値は1万3836ポイントにとどまる。チャートはどちらも高値圏で注視すべきポイントにあると言える。
◆ちなみに、昨年の日経平均株価は3月19日のコロナショック安値1万6358円から6月9日の高値2万3185円まで大きく上昇したが、そこから6月15日の2万1529円まで調整している。上昇しやすい「6月」ではあるが、高値圏で乱高下しやすいところでもある。欧米株に比べて出遅れ感のある日本株への上昇期待は募るが、個別では「吹き値売り・突っ込み買い」のスタンスで臨むことも一策だろう。
(6月3日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース