イメージワン Research Memo(1):フロー業績は厳しいが財務体質はおおむね健全。新たな成長戦略が始動

特集
2021年6月9日 15時21分

■要約

1. 会社概要と事業内容

イメージ ワン<2667>は、「『人の健康と地球環境』の分野において、IT医療と再生可能エネルギー及び環境事業を通じ、健康な長寿社会とクリーンなエネルギー社会の創造に貢献してまいります」を企業理念に掲げ、ヘルスケアソリューション事業(メディカルシステム、再生医療等)と地球環境ソリューション事業(UAV関連、再生可能エネルギー関連等)の2つのセグメントで事業展開している。

2. 経営改革はスピーディーに進展

2018年12月開催の定時株主総会において、コーポレート・ガバナンスの手段として新規事業を行うための定款変更と経営陣の刷新を柱とする株主提案議案が提案され、可決された。それから2年強が経過し、有言実行の経営力が確認されつつある。新規領域において、バランスシートとアライアンスの積極活用により事業の垂直立ち上げを実現しているほか、既存領域においても、「duranta(ウェアラブル心電計)」事業の譲渡や関連会社((株)エンパワープレミアム)の減損処理の実行、医療画像システム関連商品の次世代病院システム(クラウド型電子カルテ、線量管理システム他)への進化、Pix4D製ソフトウェアによる成果物提供サービスの開発への取り組みを通じて「選択と集中」を実践している。

3. フロー業績は厳しいが、エクイティファイナンスの活用で財務指標は総じて健全

2020年9月期決算は、売上高1,979百万円(前期比5.3%増)、営業損失452百万円(前期は43百万円の損失)となった。ヘルスケアソリューション事業における新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響は極めて大きく、セグメント売上がほぼ半減したことで損失計上を余儀なくされることになった。一方、2020年9月期末の自己資本比率は83.8%と前期末比28.3ポイント上昇、流動比率も517.9%(前期は525.4%)と高水準を維持している。厳しいフロー業績のなかで成長戦略を推進しながらも、エクイティファイナンスの活用により財務指標は総じて健全と言える。

4. 原発問題に応える新たな成長戦略に注目

同社は2019年3月公表の中期経営計画において、2021年9月期の経営数値目標として「売上高40億円、営業利益8億円、ROE10%以上」を掲げ、株主還元実施については「財務状況の改善を急ぎ、2021年9月期での復配を目指す」としてきた。しかしながら、コロナ禍の影響により目標達成の現実味は大きく後退したため、2021年9月期の復配は見送ることとなった。2020年11月公表の2021年9月期業績予想は、売上高2,400百万円(前期比21.3%増)、営業利益100百万円(同552百万円増)としている。

こうしたなかで、中長期的に連続的な成長事業へと育つ可能性を秘めたアライアンス戦略が始動している点に注目したい。創イノベーション(株)と共同実証試験を進める「トリチウム分離技術」の事業化である。原子力発電所が抱える問題に応える画期的なソリューションと言え、今後の取り組み動向に注目したい。

■Key Points

・同社は、「『人の健康と地球環境』の分野において、IT医療と再生可能エネルギー及び環境事業を通じ、健康な長寿社会とクリーンなエネルギー社会の創造に貢献してまいります」という企業理念のもとで、ヘルスケアソリューション事業と地球環境ソリューション事業を展開、ビジネスモデルの再構築を経て矢継ぎ早に新規事業分野を拡大

・2020年9月期業績は当期純損失を余儀なくされる厳しい内容も、財務指標はエクイティファイナンスの活用により総じて健全な水準にあり、新たに成長戦略を推進する準備は整っている

・2021年9月期業績予想は、売上高2,400百万円(前期比21.3%増)、営業利益100百万円(同552百万円増)。中長期的に連続的な成長事業へと育つ可能性を秘めたアライアンス戦略が始動している点に注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)

《NB》

提供:フィスコ

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