来週の株式相場に向けて=夏相場へ基調変化はあるか
今週の株式市場は、10日の米5月消費者物価指数(CPI)に視線が集中した。その結果を経ての11日の東京市場だったが、日経平均株価はそれまでと変わらない膠着状態となった。
来週は15~16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)があり、手控え状況は継続している。市場では、FOMCに関して「表立ったテーパリング(量的緩和縮小)の材料は出ないのではないか」(エコノミスト)と予想する声は少なくなく、ドットチャートによる利上げ時期が関心を集めるとみられている。2023年末までゼロ金利政策が続くかどうかだ。ただ、「インフレ懸念は一時的」との見方に大きな変化はないと予想されており、基本的な基調は変わらないだろう。
そんななか、東京市場は次の一手を模索する状態。「結局、4~6月期決算が発表される7月下旬まで往来相場は続くのでは」との見方がある一方で「徐々に煮詰まり感は出ており、サマーラリー(夏相場)の下地は整いつつある」(アナリスト)との声も出ている。
注目すべきは、ひとつは東証マザーズ指数の反騰であり、もうひとつはTOPIXの切り上げだ。特にTOPIXは週足では13週移動平均線を上回ってきた。「今月下旬の株主総会が終わると機関投資家も動き出す。相場はいったん上昇し始めると買い戻しが流入し、日経平均は2万9500円を一気に超える状況は起こり得る」(同)という。FOMC待ちでなお膠着状態は続きそうだが、次の展開に向けた動きは始まりつつあるのかもしれない。
来週は、海外ではFOMC以外では15日に米5月小売売上高、同鉱工業生産、16日に中国5月小売売上高、17日に米6月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数などが発表される。国内では17~18日に日銀金融政策決定会合が予定されている。14日には、エニグモ<3665>やパーク24<4666>の決算発表がある。16日に全研本社<7371>、18日にEnjin<7370>がともに東証マザーズへ新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは2万8500~2万9300円。(岡里英幸)