米国株式市場見通し:FOMCに注目
連邦準備制度理事会(FRB)が早期に金融引き締めを実施するとの警戒感は和らいでいるものの、連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、動きづらい展開となりそうだ。新型コロナワクチンの普及による経済活動の正常化への期待は根強いが、ダウは高値圏で売りに押されており、特に景気敏感株は新型コロナ前の水準をほぼ取り戻している。新たな材料が出るまでは、上値が重く、方向感が定まらない展開が続きそうだ。一方、長期金利が安定して推移していることはハイテク株にとってはサポート材料で、ナスダックを支えそうだ。
経済指標では、5月小売売上高、5月生産者物価指数(PPI)、6月ニューヨーク連銀製造業景気指数、5月鉱工業生産、設備稼働率、6月NAHB住宅市場指数、4月企業在庫、4月対米証券投資(15日)、5月住宅着工件数、5月輸出入物価指数(16日)、新規失業保険申請件数、6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、5月景気先行指数(17日)などが発表予定。
米連邦準備制度理事会(FRB)は15日、16日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。5月雇用統計はFRBが緩和の縮小を急ぐほどではないとして、5月消費者物価指数(CPI)もインフレは「一時的」とのFRBの見方を変えるものではないと受け止められた。市場では、FRBが金融緩和策を続けるとの見方が維持されているものの、金融緩和の縮小に向けた議論への注目度は依然として高い。また今回は、経済見通しと政策金利見通し(ドットチャート)が発表される。前回は2023年末までゼロ金利を維持するとの見方が示されたが、2023年内の利上げを見込むメンバーが増えるのか、利上げ時期に注目だ。
企業決算では、燃料電池のプラグ・パワー(14日)やソフトウエアメーカーのオラクル、財務ソフトウエアのH&Rブロック(15日)、住宅建設会社のレナ?(16日)、ソフトウエアメーカーのアドビ、スーパーマーケットチェーンのクローガー(17日)、クルーズ船運営のカーニバル(18日)などが決算発表を予定している。プラグ・パワーは気候変動対策に力を入れるバイデン政権の恩恵を受けられると注目された企業のひとつ。2月末に発表された2020年通期決算では、総取扱額が前年比で42.5%の増加と過去最高を記録し、2021年通期の総取扱高の見通しも上方修正するなど、業績への期待は高まる。一方で、株価は今年1月下旬に高値を付けてから軟調で、足元では高値からほぼ半値の水準で推移している。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》