【杉村富生の短期相場観測】 ─日本市場は先行する欧米を追う展開に!
「日本市場は先行する欧米を追う展開に!」
●早い段階に、接種率は4割に到達!
コロナワクチンの接種率とその国の指導者の支持率、株価とは密接な関係がある。実際、欧米諸国と比較すると、「周回遅れ」と形容される日本は菅政権の支持率が低下し、株価は高値保ち合い(ザラバ高値は2月16日の3万0714円)を続けている。接種率は政策の優劣を判断する「グローバル数値基準」と言われているだけに、やむを得ない面があろう。
ただ、この1カ月の接種スピードの加速(1日30万回→80万回)は目覚ましい。接種率(1回目)は3%→12%と急上昇だ。野村総合研究所によると、8月20日には1回目のワクチン接種率が4割になるという。これは早まる可能性がある。そうなれば景況感が劇的に改善する。
ドイツ、フランスでは5月下旬に接種率が4割を超えた。この結果、ドイツ・メルケル首相、フランス・マクロン大統領の支持率が回復、クセトラDAX指数(独)は史上最高値を更新、CAC40指数(仏)は2000年以来の高値水準となっている。日本は両国の後を追うのではないか。
アメリカは5月のCPI(消費者物価指数)が前年同月比5.0%上昇と、4月の4.2%上昇に続いて、高い伸びとなった。これを受け、「インフレ懸念の台頭、FRBのテーパリング説の再燃か」となるところだが、マーケットは落ち着いている。米10年物国債利回りは1.4369%だし、VIX(恐怖)指数は低位安定である。
ウォール街では「CPIは昨年4~5月のコロナショックのピーク時(最悪期)と比較している。これはおかしい。経済の正常化を反映し、中古車価格、航空運賃が値上がりするのは当然だ。長期債については内外の機関投資家の買い意欲が強い」という。
●好業績株、ポストコロナ株を狙う!
すでに、日本の景気動向指数は2019年の水準を上回っている。日経平均株価のEPS(1株利益)は2038円と、史上最高レベルにある。ここに非製造業の景況感の改善が加わる。PERの上昇を抑制している需給の悪さ、人気の乏しさは一気に好転する。ちなみに、前期実績のPERは18倍強だ。2038円を18倍に評価すると、日経平均株価は3万6000円を超える。
これは単純計算だが、日本株が出遅れているのは確かだろう。企業ベースでみると、東芝テック <6588> 、ゼンショーホールディングス <7550> 、日本電子 <6951> 、ミネベアミツミ <6479> 、豊田自動織機 <6201> などはコロナショック前の営業利益を大幅に上回る見通しにある。見直し必至と思う。
ポストコロナの視点では旅行、レジャー、空運、鉄道、消費関連などのセクターに注目できる。具体的にはオープンドア <3926> 、エアトリ <6191> 、東祥 <8920> 、コシダカホールディングス <2157> 、ANAホールディングス <9202> 、高島屋 <8233> などが狙い目となろう。
小物はどうか。10日上場のテンダ <4198> [JQ]は初値6500円(公募価格3250円)に対し、11日には4700円の安値まで売り込まれた。典型的な「寄り付き天井」だ。しかし、AI(人工知能)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、EC(電子商取引)などのソリューションを手掛ける。4800円絡みは買える。
このほか、副業支援のココナラ <4176> [東証M]、IT技術者派遣のヒューマンクリエイションホールディングス <7361> [東証M]、PER8倍台の岡本工作機械製作所 <6125> [東証2]、PER7倍前後の日本ドライケミカル <1909> 、材料が山積みで、チャート妙味の東京計器 <7721> はじっくり狙える。
2021年6月11日 記
株探ニュース