富田隆弥の【CHART CLUB】 「テーパリングは織り込み済み」
◆マーケットが注目した15~16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、政策金利見通しでゼロ金利解除(利上げ)の時期が2023年に前倒しされた。そして、FRB(米連邦準備理事会)のパウエル議長は会見でテーパリング(量的緩和の縮小)について議論を始めたことを明らかにした。2024年以降としていた利上げ時期を早めたことで、16日の米国市場は株安(NYダウ:265ドル安)、金利上昇(10年債利回り:0.08%上昇)、ドル高(1ドル=110.72円)で反応し、17日の日経平均株価は272円安の2万9018円と下落した。
◆株式市場にとって金利上昇は注意すべきことだが、NYダウは5月10日の高値3万5091ドルから調整している。つまり、株式市場は景気回復を背景にテーパリングが近々議論されることを想定して織り込んできたと言える。
◆日経平均株価は15日に2万9480円まで上げて75日移動平均線(17日時点2万9105円)を抜いたが、2月高値の3万0714円から引く上値抵抗線に差し掛かって頭打ちとなり、17日は再び75日線の下に潜ってしまった。だが、チャートは日足、週足とも三角保ち合いを煮詰めた状況にある。
◆三角保ち合いからの放れ足がポイントになるが、コツコツと節目をクリアするジリ高歩調は強く、上放れる可能性は小さくない。米国で株式市場が浮上するなら日本株は円安効果もあり上昇しやすい。また、7月は東京都議選(4日)、23日からの東京オリンピックを控えて、政府(与党)としても株高を意識するだろう。下に控える25日線(17日時点2万8732円)を維持しているうちは“上放れ”を想定しておきたい。
(6月17日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース