コプロHD Research Memo(4):2021年3月期は2ケタ増収だが一過性コストなどで減益

特集
2021年6月21日 15時04分

■業績動向

1. 2021年3月期の連結業績概要

コプロ・ホールディングス<7059>の2021年3月期の連結業績は、売上高が前期比13.1%増の14,836百万円、営業利益が同9.7%減の1,437百万円、経常利益が同9.2%減の1,439百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.9%減の1,009百万円だった。

売上面は需要が高水準に推移したことに加えて、コロナ禍でも新規採用を積極的に行い、技術社員数の増加により2ケタ増収となり、15期連続増収を達成した。なお新規採用は前期比198人減の865人で、このうち業界経験者は433人、未経験者は432人(新卒89人、中途343人)だった。期末技術社員数は前期末比36人増加の2,020人となった。

業種別売上高で見ると全業種で伸長した。建築は前期比7.4%増収、土木は同20.0%増収、設備は同13.3%増収、プラントは同16.9%増収、CADは同6.4%増収、その他は同33.2%増収だった。取引先別売上高で見るとスーパーゼネコン向けが同2.4%増収でその他が同16.0%増収、エリア別売上高で見ると、三大都市圏(関東・東海・関西)が同9.6%増収、地方合計が同21.8%増収と、いずれも伸長した。2021年3月期は、営業エリア拡大(2019年10月開設の高松支店、2020年4月開設の千葉支店、静岡支店、北九州プラント支店、2020年11月開設の新潟支店)も寄与して、特に地方圏の建設会社向けを中心に売上が大幅に増加した。またプラント関連は新規顧客開拓が進展した。

四半期別売上高で見ても、第1四半期が前年同期比19.3%増の3,606百万円、第2四半期が同16.4%増の3,664百万円、第3四半期が同12.5%増の3,796百万円、第4四半期が同5.4%増の3,768百万円と順調に拡大している。第1四半期には、コロナ禍の影響で工事現場の一時閉鎖と技術社員の一部休業が発生したが、休業した全技術社員に対して派遣先から月額契約に係る補償を受けた。

利益面は、成長投資に伴う一過性コスト(123百万円)の増加などで減益だった。派遣労働者の同一労働・同一賃金による売上原価率の悪化が主要因であった。売上総利益率は前期比4.3ポイント低下して29.0%だった。派遣労働者の同一労働・同一賃金制度に伴う技術社員の給与テーブル引き上げ、新卒技術社員の採用増による研修費の増加、コロナ禍における待機労務費の増加、新型コロナウイルス感染疑いのある技術社員の自宅待機に伴う特別休暇取得などで売上原価が増加した。また、成長投資に伴う一過性コスト(営業コンサル費用、基幹システム再構築関連費用、支店新設・集約費用、グローバル事業調査費用、新型コロナウイルス感染症対策費用、東証・名証1部市場変更費用)などで販管費が同2.7%増加した。ただし販管費比率は同1.9ポイント低下して19.3%だった。

なお採用費は戦略的に抑制したため、採用効率が大幅に改善した。1人当たり採用費は前期の193千円に対して、2021年3月期は156千円となった。また1人当たり契約単価(月額)は、チャージアップ交渉の寄与に加え、1年目の技術社員の構成比が低下したこともあり、全社平均で前期比0.4万円増加の54.6万円となった。

2. 財務状況

財務面で見ると、2021年3月期末の資産合計は主に現金及び預金が増加して前期末比483百万円増加の8,514百万円、負債合計は主に未払法人税が減少して同300百万円減少の2,241百万円、純資産合計は主に利益剰余金が増加して同784百万円増加の6,272百万円、自己資本比率は5.4ポイント上昇して73.7%となった。財務の健全性は高いと言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《AS》

提供:フィスコ

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