日産東HD Research Memo(5):100年に一度の大変革に対応

特集
2021年6月25日 15時05分

■中期経営計画

1. 中期経営計画の概要

日産東京販売ホールディングス<8291>の企業理念は、「日本一のマーケット“東京”でトップクラスのカーディーラーグループであり続けることを目指します」というものである。今後も企業理念は変わらないが、一方で、「CASE」に代表される技術の飛躍的進化により、自動車業界は「100年に一度の大変革期」と言われるようになった。加えて少子高齢化などによる需要減少の懸念も重なる。こうした大変革期において同社は、ベストプラクティスの更なる徹底、新たな販売スタイルと新商品の開発、M&Aによる規模拡大、という3つの目標の実現に取り組み、高収益を維持していく考えである。2020年3月期から2023年3月期までの4ヶ年中期経営計画では、コロナ禍以前に策定されたものではあるが、そうした取り組みによって売上高1,750億円、営業利益55億円と意欲的な目標を目指している。

3つの実現目標を軸に顧客の期待を超える価値を提供

2. 中期経営計画の進捗

3つの目標は、コロナ禍においてもその重要性は変わらず、着実に実施されている。課題としては、組織風土の醸成と店舗への投資が必要なことである。同社はそのために、社員が個性を生かして活躍し、社員同士が連携・協業して能力を最大限に発揮できる、ダイバーシティを重視した組織風土を醸成していく方針である。そしてさらにベストプラクティスの取り組みを徹底するとともに、3販社統合によってベストプラクティス共有を深化させる。これにより、「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」をコアコンセプトに、時代の流れと顧客のニーズを的確に捉えた最適な提案型営業を行い、ニーズに即したカーライフ商品の拡販や、新しい時代の乗り方としての個人リース「P.O.P」の訴求、EV時代に即したL2H※の拡販など付加価値販売を徹底し、シェアと収益の最大化を図る。

※L2H(Leaf to Home):EVから電気を取り出して外部(家屋全体や家電製品など)へ給電するための装置。

新たな販売スタイルと新商品の開発への取り組みとして、同社は、ITを軸とした店舗投資と売り方改革を実行、販売スタイルのDXを推進する。ビッグデータを活用し、デジタルマーケティングを強化、自動車プロモーションに最適と期待されるVR(Virtual Reality)システムの導入も図る。また、既存店舗の「ニッサン・リテール・コンセプト」店舗(2021年5月現在4店舗)への進化を促す。しかし、同社の店舗は歴史が長く、そのため道路事情が変化したり手狭になったりして、駐車場など顧客動線の悪化や新サービス商品導入のためのスペース不足といった課題のある店舗も残っている。このため、増床やスクラップ&ビルドなどの増強投資も積極化すると考えられる。併せて、S-POP(高齢者専用リース商品)の開発・販売など、顧客にとって安心・安全・便利なカーライフの提供も強化していく。

M&Aによる規模拡大への取り組みについては、これまでも独自性を追求するためGTNETなどの買収を進めてきた。今後も、M&Aのシナジーを発揮してグループとしての持続的成長を図っていく方針である。M&Aのターゲットは自動車関連事業を中心にグループ会社関連事業周辺、エリアとしては東京及び東京周辺で地理的拡大も検討に入っているようだ。目標は1年に1件のM&Aとしている。都合の良いタイミングでM&Aができるかは不明だが、経営の強い意思を示すため、前述した中期経営計画の目標値に一定程度織り込んでいる。こうした目的を実現することで、顧客の期待を超える価値の提供と企業の持続的成長を実現していく考えである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《AS》

提供:フィスコ

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