来週の株式相場に向けて=国策銘柄をもう一度見直す
東京株式市場は、2万9000円を挟んでの一進一退が続く。特に、今週は後場に入って相場はなぎ状態となる膠着相場に陥っている。この要因として、「やはり米国の金融政策の先行きが読めないことが大きい。機関投資家も積極的な売買は手控えざるを得ないだろう」(市場関係者)という見方が多い。
その一方、米国ではナスダック指数やS&P500種指数は最高値を更新しているが、日経平均株価は出遅れている。「日本にはアップル<AAPL>やアマゾン・ドット・コム<AMZN>のような相場を牽引する世界的な大手IT企業が不在な点が痛い」(同)という。
市場では、今晩発表の米5月個人消費支出(PCEデフレーター)が注目されているほか、来週は7月1日の米6月ISM製造業景況感指数、翌2日の米6月雇用統計と重要経済指標の発表が控えている。今週のような膠着相場が続くことを想定しておくべきだろう。
そんななか、日立製作所<6501>や富士通<6702>といったデジタルトランスフォーメーション(DX)関連銘柄、レノバ<9519>やイーレックス<9517>といった主力の環境関連銘柄を物色する動きが目立つ。経済正常化に絡む景気敏感株は十分買われた状況にあるだけに、「DX、環境といった国策に乗る銘柄を見直す動き」(アナリスト)が強まっている。もう一度原点に戻り、政府の成長戦略などに絡む国策関連銘柄が再評価されてきていることに目を向けたい。
来週は、前述したように2日の米雇用統計が最大のポイントだが、他に海外では30日に中国6月製造業PMI、米6月ADP雇用統計が発表される。同日にマイクロン・テクノロジー<MU>が決算発表を行う。
国内では1日には6月日銀短観が発表される。28日にしまむら<8227>、30日にニトリホールディングス<9843>、2日に良品計画<7453>が決算発表を行う。更に28日にコンフィデンス<7374>、29日にオムニ・プラス・システム・リミテッド<7699>、30日にプラスアルファ・コンサルティング<4071>など5社のIPOが予定されている。来週の日経平均株価の予想レンジは2万8700~2万9400円。(岡里英幸)
最終更新日:2021年06月25日 17時50分