【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─6月波乱の教訓、暴落に備える投資戦略
「6月波乱の教訓、暴落に備える投資戦略」
●損失を抑えるために投資家がなすべきこと
「いきなりの暴落に直面したらどうする?」――こう聞かれたらどう答えますか。
答えるのが難しいというのが、私の率直な思いだ。6月21日、日経平均株価は一時1100円以上も暴落してしまった。翌日に873円戻して「やれやれ」となったものの、21日の暴落がそのまま続いてしまうこともあり得た。
「あのような時はどうすればいいんですかね」と、数人の投資家さんに聞かれたのだが、前述したように答えるのが難しい質問になる。しかし、投資家であるのならば、絶対的に必要な問いではある。
では、私はどう答えたか。資金の急減を完全に食い止めることはできないが、それを抑える方法はある…と。
【その1】:かねてより買うだけでなく、空売りもしておく。
これはヘッジファンドのやり方で、ロング・ショート法と呼ばれている。この場合、買い銘柄が急落しても、売り銘柄も同時に下落することで利益になり、理論上は損をしないことになる(計算上、売り買いの金額が同程度とする)。
しかし、この方法は信用取引の売りを行うため、一般的ではない。それに信用売りはそれなりに難しく、習熟するのに多少時間がかかる。
そこで、もっと一般的な方法となると、次の方法となる。
【その2】:ともかく持ち株の半分を手放すつもりで速攻で売る。
ドカーンときたら様子を見るのが普通だが、その間もどんどん下げてしまうので、下げが極端になりそうな銘柄や大量所有している銘柄を半分売る。もしかしたらすぐに戻るかもしれないので、それを考えて半分は残しておくのだ。もちろん、売りたい分が全部売れるわけではなく、ほとんど売れない。こういうこともあるが、大事なのは底を打って反発に転じた時だ。
全部を手放した場合、新たに買い直さねばならない。それは結構難しい。そこで底打ち反転を考え、残した株の反発に期待するとともに、持ち株を手放して得られた資金で新規投資すればよいことになる。
暴落などあって欲しくはないものの、もしまた起こることがあれば、以上のような方法で対応すれば、無傷というわけにはいかないが、傷を小さくはできる。
●暴落に強い銘柄を探せば…
そこで、注目銘柄。特に暴落に強そうな銘柄を紹介しよう。
選択の基準は、これまでの急落局面にどう耐えたかをチャートによって判断する。この観点からは、まずは何といっても富士フイルムホールディングス <4901> になる。約20年にわたり経営を率いた古森CEOが退くことになったため、先行きは大丈夫だろうかとの懸念があったが、株価は上昇を続けており、先日の急落も軽い反落で乗り切ったことはやはり高く評価できる。
続いてニコン <7731> だ。一眼レフカメラと半導体露光装置がメインの事業だが、苦戦が続いた カメラが浮上に転じた(私の愛機はニコンの中古機だが、買い換えるつもりはない)。株価は超スローで浮上中であり、ここからは大きな崩れはないと見てよい。
半導体関連株では新光電気工業 <6967> がある。親会社の富士通 <6702> が堅調そのものの動きになってることに加え、主力製品のリードフレームがインテルなど向けに需要が絶好調。株価は誰が見ても高値圏ながら、さらなる高値があってもおかしくない。
ポンプの総合メーカーながら、半導体研磨装置に強いことが意外に知られていない荏原製作所 <6361> も値動きスローながら手堅さで好評価できる。
そして、たびたび取り上げている日立製作所 <6501> だ。企業価値向上のために大型M&Aに踏み切った英断は株価支援材料として強力だ。
続いて、ジャパンエレベーターサービスホールディングス <6544> になる。 エレベーターの保守管理は長期にわたるため、経営の安定性は高く、暴落にも強い。
最後は私の大好き銘柄であるメニコン <7780> だ。売上の半分が会員による定期購入によるもの。当然、経営の安定感は出色。株価も堅実高を続ける可能性が高い。
2021年6月25日 記
株探ニュース